研究課題/領域番号 |
24659945
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
柳沢 節子 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90200534)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スピリチュアルケア |
研究実績の概要 |
H26年度においては、神経難病療養者のスピリチュアルケアの現状と具体的な内容について明らかにするために、脊髄小脳変性症(SCD)の患者家族会の総会での聞き取りおよび家族介護者に予備調査としての面接を行った。家族内での複数名の発症がある事例については、介護者より家族内の遺伝についての不安及び苦悩が語られた。介護者は、介護の不安や困難状況と共に、2世代目が発症して次の3世代、4世代へと続く発症の不安について述べていた。遺伝について十分なカウンセリングを受ける機会や機関も少なく、家族内でも遺伝について語ることが躊躇される状況であることが推察された。このように、遺伝性疾患であることの苦悩や病気が次の世代に引き継がれることへの苦悩などを持つ対象者にたいして、スピリチュアルケアが、必要であることが示唆された。 ケアシステムの構築については、信州大学周辺地域で運用されている通信システムe-MADOが在宅療養者及び家族と在宅療養支援者との間、および支援者間での情報交換、療養相談に利用されている。遠隔地および日常生活行動に障害がある場合、また、コミュニケーションに障害がある場合の情報伝達、共有手段としては有効であることが報告されている。スピリチュアルケアにおいてどのように活用可能であるか、引き続き検討を行う。既存のシステムによるサービスの利用方法と既存のシステムに対応しない対象者に対するケアシステムについて検討の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スピリチュアルケアについての質問紙調査について、調査用紙作成がおくれ、26年度に実施予定であったが、現在実施依頼を行っており、今後データの収集・分析を行う予定である。 チームケアシステムの構築については、在宅療養電子情報把握のために、通常の機器での端末機器使用について、対象者の症状の変化・進行に伴い、端末入力方法に検討の必要があることが明らかとなった。このため利用環境を整備することが必要となり、その検討のため調整期間が必要となり、研究期間を延長申請した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度については、患者・家族および保健・医療・福祉関係者への質問紙調査を実施し、結果の分析、まとめを行い、チームケアのニーズを検討する。 スピリチュアルケアのためのチームケアシステムについては、信州大学医学部附属病院を中心とするe-MADOの利用、本学に新設された地域保健推進センターの通信システムの利用を検討する予定である。 これらさまざまな人的、物理的環境システムの利用を含めて、より簡便で効果的なスピリチュアルケアのシステム化について検討することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、当該年度に調査のための郵送費・結果の分析のための謝金に使用予定であったが、研究の進捗状況により調査を次年度実施することにしたため、次年度使用額が生じた。また、ケアシステムに関するiPad通信については、本学科の通信システムの機能を確認し、併用した機器の利用を検討するため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、平成26年度までの請求額と合わせて、調査費および結果のデータ分析作業の謝金として人件費に使用する。また、最終結果のまとめについては、関係職種に確認を依頼する予定であり、謝礼としての謝金として使用する。 ケアシステムの構築については、iPad(通信のための契約・維持費を含む)購入し、症状の変化に伴う入力の操作の不便さを補うための装具機器の購入費として使用する。
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