神経難病患者のスピリチュアルペインとスピリチュアルケアの状況を明らかにし、ケアを行うための連携システムについて検討することを目的に、文献検討と患者と介護者へのプレテストインタビューの分析を行った。神経難病患者とスピリチュアルペイン、スピリチュアルケアの関連文献を示す研究は少なかった。またチームケアシステムとの関連を示す研究はほとんどみられなかった。プレインタビューの分析により、患者および家族介護者のスピリチュアルな苦悩は、病気の遺伝性疾患からくる不安や苦悩があった。遺伝性疾患であることの苦悩や病気が次の世代に引き継がれることへの苦悩などを持つ対象者は、家族内でも語ることが躊躇され、専門職に話す機会も少ないと考えられる。このような苦悩も自分の価値や安寧を脅かすものであり、スピリチュアルペインと考えられることから、スピリチュアルケアが必要であることが示唆された。神経難病においても遺伝解析がすすみ、発症前診断も含めて、遺伝子診断の技術は格段に進歩している。しかしその対象となる患者、家族の療養上の負担をはじめ、遺伝に伴う苦悩について、日常の診療や看護において十分に対応できているとはいえないことが推察される。スピリチュアルケアを行う際は、遺伝に伴う内容についても配慮することが必要であり、専門職ケアチームで検討し、共有することが重要であると考える。 次年度以降は遺伝性神経難病患者・家族のスピリチュアルペインとそのケアについて検討する予定である。
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