研究課題/領域番号 |
24659947
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
兵藤 好美 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (90151555)
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研究分担者 |
田中 共子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (40227153)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲーミングシミュレーション / 医療安全教育 / プロセス / 時間切迫 / 曖昧指示 / 振り返り / 指差呼称 / 確認 |
研究概要 |
従来の静止的な事故研究を超えて、事故の「プロセス性」を重視するため斬新な教育手法が必要であり、ゲーミングシミュレーション法の適用を着想した。疑似体験型の学習から得る多層的インパクトを構造化し、心理教育型の医療安全教育を創出することを目的とする。 【平成24年度】に実施した医療安全教育の開発を報告する。 1)曖昧な指示のもたらす反応の多様性と危険性に気づくためのシミュレーションゲームを試行し、体験から何を学習したかを探索した。2012年7月実験協力の依頼に応じたA大学生18名を対象としてゲームを行った。①13種類の瓶から1人1~7本を選択させたが、時間切迫にプレッシャーを感じ、不明瞭な指示には遂行の迷いと困難を覚えていた。②曖昧な指示は多様な反応を引き起こし、他者の反応を予想することは困難だと学んでいた。ゲーム後の振り返りではエラー防止には詳細な指示を出し、不明点を確認することが大切との認識が示された。③ゲーム前後の安全意識の変化として、実験後11項目の安全意識が有意に高くなった。 2)2012年10月、看護学生を対象に作業中断を取り入れた業務を指示し、指差呼称の効果を検討することを目的とした。①対象者31名を指差呼称あり・中断あり群、指差呼称あり・中断なし群、指差呼称なし・中断あり群、指差呼称なし・中断なし群の4群に分け、患者・薬剤名を指示し配薬をさせた。②分析の結果、薬剤の種類に関してのみ、4群間に有意差が認められた。薬剤の量、薬剤の種類における指差呼称に関し、主効果が認められた。③ゲーム実施後、指差呼称の医療事故防止に関する効果、多重課題下での指差呼称の有用性に関し、実施前に比べ顕著な高まりがみられた。また自由記述からは「指差呼称でスムーズに実施できた」「確認の重要性が分かった」等の指差呼称や確認の重要性に関する項目が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年、2-4個の医療安全教育に関するゲームを開発してきており、研究課題は概ね順調に進展していると言えよう。内容についても年々充実したものになってきている。 本年度の収穫は、日本心理学会において講演とゲームの実演を依頼した中村美枝子先生から、ゲーミングシミュレーションの詳細を学ぶ機会を得たことである。カードを使用して行うゲームは初めてで、新鮮であった。早速、開発中のチームにおける権威勾配に関するゲーム作成にアイデアを取り入れ、興味深い結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ゲーミングシミュレーションに関する理論や医療事故の要因となるヒューマンエラーに関する要因等を基礎に包括的なゲーム作成を指向していく。またゲームの種類についても特性・状況ゲームを作成すると共に、個人は勿論、集団での意思決定に関するゲームも精力的に作成していきたい。 また分析についても実験的手法を踏まえ、完成度を高めて行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.学会での成果報告(旅費) 2.ゲーム作成に関する費用(物品) 3.ゲームに関するデータ整理・入力(人件費) ※p.1 収支状況欄 次年度使用額(\33,896)については、人件費・謝金として使用予定である。
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