平成26年度での研究の目的は、1障碍のある当事者にとって必要なケア内容を構造化すること、および2障碍を扱うリハビリテーション領域で十分は行えていなかったケア視点を明確にすることの2点とした。研究において2を先に進行し、障害者ケアを行っているリハビリテーション病院に働く臨床経験の豊かな看護職と看護管理者を対象に面接法により、「継続的にケアが必要だった対象」「連携ケアが必要だった対象」を想起してもらい、自由に障害者のケアに関する治験や構想を語ってもらった。 データを質的に記述し分析したところ、リハビリテーション病院に働く看護職からは、臨床現場の特質によって語られる内容が異なる傾向があり、均質に障害者のケアの不足を感じているのではなく、障害者ケアの分化した側面が抽出された。そのケアの分岐点は、診療科、障害者区分、受診者の年齢等が要素としてあり、それが医療機関の特性と一致した。しかしながら、1障害のある人の生活の場としての受け皿をみつけること、2障害のある人へのリハビリテーションの場の提供、専門職の派遣などのサービスの不足、3固定した障害(残遺障害)のある人への健康の維持や増進、4障害のある人の高齢化に伴う負荷障害への医療の不足などが抽出された。 これらのうちいくつかは厚生労働省等の対策にも上がってきてはいるが、現場の問題として高齢化する障害のある人へのケアが新たに必要になっていると考えられた。 障害当事者への面接は今後の課題となったが、障害の種類によって異なる体験があるために障害の種類を区切ってデータ収集することが必要であると考えられた。
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