研究課題/領域番号 |
24659964
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
桑野 紀子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (30550925)
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研究分担者 |
李 笑雨 大分県立看護科学大学, 看護学部, その他 (50448825)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 多文化看護 / 外国人患者 / 在留外国人 |
研究概要 |
平成24年度は、1.研究テーマに関連した国内外情報の収集、2.予備調査(第1段階;日韓看護職への半構造的インタビュー調査、第2段階;質問紙調査の質問紙開発まで)を行った。 1.情報収集では、日本の在留外国人をとりまく社会経済的状況・制度、医療保健サービス提供機関の外国人患者受入れの現状、外国人患者に対する看護の現状等に関する情報(研究論文を含む)を収集した。本研究で比較対象として注目する韓国に関しても、共同研究者の協力を得て情報を収集した。また、教育学・心理学分野における異文化接触に関する文献調査も進めた。情報収集を通じて、日本社会が加速度的に多文化化していること、医療現場のみならず教育現場や地域においても共生のあり方が模索され続けていることが確認できた。看護職ら医療職者も多文化に対する理解を深め、文化的背景に対する感受性を高めていくことが喫緊の課題であること、課題解決に向けた具体的方策の必要性を再認識することができた。韓国では外国人患者受入れへの関心が非常に高く、とくに大規模病院において積極的に外国人患者受入れ体制の整備が進められていることは興味深い。情報収集の一部の成果発表として、韓国で発表する機会を得、現地で情報交換を行えたことも大きな収穫であった。 2.予備調査では、日韓の看護職を対象とし、外国人のケアに関する半構造的インタビュー調査を行った。対象者は日本10名、韓国6名で、過去1年間に外国人患者のケア経験のある看護職者であった。看護職者インタビュー調査を通して、先行文献で得られた情報に加え、看護職の多文化への理解・関心や外国人患者のケアに対するレディネスについて実態把握を試みた。 さらに、インタビュー調査結果をもとに、予備調査第2段階;質問紙調査の質問紙を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの達成度としては、当初の計画より若干の遅れがある。計画では平成24年度中に予備調査第2段階である質問紙調査を終える予定であったが、現時点では質問紙調査が平成25年度6月実施となる見込みである。 若干の遅れが出ている理由として、予備調査第1段階である看護職への半構造的インタビュー調査の調査期間が延長したことが挙げられる。調査は日本および韓国で行ったが、まず国内では対象者が一部地域のみに限定されないよう、遠方大都市圏の施設に調査協力を依頼して、施設の受入れ責任者に適切な対象者を紹介していただき、さらに対象者と研究者の都合のよいスケジュールを調整する際に時間を要した。また、韓国での調査の際は、必要な文書のやりとり、日程調整に時間を要した。 上記のような理由で若干の遅れが生じているが、日本および韓国において、共に適当と考えられる対象者にインタビュー調査を行い、有用なデータを得られたことは大きな収穫であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、予備調査第2段階である質問紙調査を進め、日本の看護職に必要な臨床における研修プログラムの開発につなげていく予定である。 質問紙調査に関しては、すでに研究者が所属する施設の倫理委員会に申請済みであり、6月から調査を実施できる見込みである。 研究の推進方策として、質問紙回収後のデータ処理作業を迅速に進めるために、質問紙配布後すぐにデータ処理にとりかかれる体制を整え(PC環境の整備、研究者のスケジュール調整、必要時ごく短期のアルバイトを依頼)、回収できた質問紙から順次データ処理していき、分析と研究の次の段階である研修プログラムの開発のために時間を有効活用できるよう試みたい。 研修プログラム開発の段階では、共同研究者に加えて、外国人患者のケアの経験が豊富な臨床看護師らにも協力を依頼し、共同してよりよい内容を構築していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙調査実施の際に、研究費を活用したい。具体的には、用紙・封書の購入、質問紙印刷、郵送(発送・返送)、調査実施施設との打ち合わせ(交通費)等に研究費を利用する予定である。 研修プログラム開発の際には、研究協力者との打ち合わせ(交通費)、研修開催時の実費等に研究費を活用したい。 また、研究成果発表を行う機会を積極的に持ちたいと考えているため、学会参加の際の交通費にも充当させていただければと考えている。
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