研究分担者 |
大迫 哲也 了徳寺大学, 健康科学部, 准教授 (30349170)
眞鍋 知子 了徳寺大学, 健康科学部, 教授 (40573598)
横山 正江 了徳寺大学, 健康科学部, 助教 (80707802)
加治 美幸 了徳寺大学, 健康科学部, 助教 (10633232)
柴田 滋子 了徳寺大学, 健康科学部, 助教 (90622077)
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研究実績の概要 |
目的:今後急増するおそれがあるシングル介護形態の,危機か危機回避かを分けるターニングポイントとなる要因を抽出し,DVD作成を中心とした危機回避にむけた支援プログラムを開発することである。 方法:平成1年~25年間の「介護」および「殺人または虐待」に関係する裁判判例,厚労省の「高齢者虐待に関する調査結果」や「虐待発生の要因」, Aguilera,D.C.& Messickの危機モデル,湯原(2011),佐藤(2000)らの先行研究,および2011年4~6月,2012年4~6月の2回,シングル介護者20名および介護支援専門員10名への直接対面インタビューおよびアンケート結果を基に,危機要因を分析した.要因分析の信頼性は,介護の専門家によるオーバービューをもって検討した.次にそれらの要因を統合したシングル介護者用の危機回避にむけた支援プログラムDVDを作成した. 結果:主要因として「健康」「経済」「自立」「情報」が,下位概念として「自己の存在価値感」「自己中心的価値観」「SOC: Sense Of Coherence」「介護負担感」が,気分尺度として「ショック」「イライラ」「絶望」「無力感」が抽出された.更にシングル介護では介護初期に危機状態に陥りやすいことなども明らかとなった.これらの要因を基に,シングル介護者の試聴意欲にも配慮し,危機回避に向けたDVDコンテンツの大枠を「まず始めにすること」「入院?!どうしよう!」「こんな時どうするの?」「たまには気分転換!」「Q&A集」の4つに絞り,情報提供のタイミングを介護前~介護初期とした.特に「こんなときどうするの?」では,緊急時の連携・体制作りや認知症への対応および救急か通院かの判断徴候などもQ&Aとリンクさせる形で含めた.「Q&A集」では,身近な体験談の形で有効であったコーピング行動を集約して統合し,押し付けではない形で問題解決の糸口がつかめ,本人の自己効力感が高まるよう配慮した。 今回,危機回避プログラムとしてのDVDを作成できたが,その有効性の検証には至らなかった.今後は介護者予備軍も視野に入れ,このプログラムの有効性を検証してゆく必要がある。
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