1年間の研究期間延長を申請し,主として前年に作成し臨床看護場面の動画課題を用いた調査を看護学生1年~4年次生に実施した.対象者の募集では静止画(写真)の調査以上に任意性を尊重した方法であったことから,対象者数の減少やばらつきが生じた状況がみられた.データのばらつきを考慮しつつ分析を行った結果では,静止画による調査と同様に一部の学年間でカリキュラム構成に即した差異を確認することができた.この結果については,今年度の日本看護学教育学会で報告を予定している.また,より詳細な分析を目的に今後はデータの質的分析も予定している.今年2~3月には,同対象者に対する再調査を実施した.この縦断調査の結果については,現在,分析を行っている.結果の概要は報告書で提示し,年度内の学会発表を目指したいと考える.更に,作成した動画を活用し更にデータの質を高めるための策を講じた検証を研究期間終了後も継続したい.また,本研究を進める中で,状況の中にある看護を捉えるトレーニングとして,視覚情報を学生が主体的な視座から分析することは意義があり,その記述(テキスト)分析結果は教育上も学生の理解状況などを知り得る貴重な情報と考えられた.しかし,動画など情報量が増えるほど学生の記述には表現としてのゆらぎが生じる実情があり,本研究最大の課題となった.能力の数量化に向けてた妥当性のある評価のためには,更なる研究が必要である.
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