研究課題/領域番号 |
24659981
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
則包 和也 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00342345)
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研究分担者 |
川添 郁夫 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80624741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | メタ認知 / 認知行動療法 / 精神疾患 |
研究概要 |
メタ認知トレーニング(以下、MCT)は、ハンブルク大学のMoritz教授らによって開発された心理教育・心理介入法である。MCTの原理や技法は認知行動療法に基づいている。主に精神病性障害の幻覚や妄想の維持要因となる認知バイアスを標的とした8つのモジュールから構成されており、その有効性に関しては主にヨーロッパでRCTが行われて実証されている。 H24年度は、精神看護や認知行動療法に関連した学会に参加して、MCTに関する情報の収集とMCTに関心を持つ研究者との交流を積極的に行った。さらに、精神障害者の自助グループの行事や会に参加し、MCTの実施に関する当事者からの意見や考えを得ることができた。また連携研究者からのスーパーヴァイズを受け、MCTの実施方法へのアドバイスを得るとともに、MCTの普及啓発活動と研究推進を目的としたネットワークとして“MCT-Jネットワーク”(連携研究者が会長、会員数約50名:H25年4月現在)とホームページの創設(http://www.mct-j.net/)に関わることになった。また、研究分担者と連携研究者との共同作業によって、MCTパワーポイントとワークシートの日本語版の作成を行い、MCTのさらなる普及を視野に入れた活動を行った。 また、MCTの実施による対象者の認知機能の変化を評価するために“統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia:BACS-J)の購入、および同尺度の講習会への参加、必要な機器(プロジェクター、モバイルスクリーン等)の購入を行い、本研究の実施への準備を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
達成度に対する評価の理由は、対象者に対して実施がなされていない点である。これは、MCTの実施に関する準備(翻訳作業、機器の購入等)や評価尺度(BACS-J)の購入に手間取ったことが影響し、24年度内の対象施設とのスケジュールの調整が困難となったことが主な原因である。
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今後の研究の推進方策 |
【研究実績の概要】で先述したように、本研究の実施についての準備は整ったことから、今後は対象施設との連絡を緊密に行い、研究協力の依頼および対象者の同意を得た上で、研究の実施を主に進めていくことを予定している。 また24年度に設立したネットワークでの情報交換や交流を活発に行うことで、本研究のよりスムーズな実施を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度(25年度)の計画費の使用計画として、MCTの情報収集および情報発信を目的とした学会への参加を計画している。詳細は、6月の精神保健看護学会(京都)、7月のWorld congress in behavioural and cognitive therapy(Peru)、8月の認知療法学会(東京)への参加に必要な経費(交通費、宿泊費等)を予定している。 また、研究の実施に伴い、対象者への謝金(約50名)および、本研究の考察の参考となる認知機能に関する書籍購入費、研究報告に関する諸経費等として使用する予定である。
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