A精神科病院の2つの開放病棟(X病棟・Y病棟)で、調査を実施した。X病棟での対象者は16名で、MCTを実施するA群7名、および、実施しない対照群9名に分けて行った。MCTは、週1回のペースで、8回実施した。実施前後で、3つの質問紙(自己関連づけ尺度;金子、Locus尺度;鎌原ら、ネガティブな反すう尺度;伊藤ら)への回答を依頼した。実施後、回答を統計的に比較したところ、A群において、Locus尺度の内的統制(自分の能力や技能によって、出来事がコントロールされているという感覚)が有意に高まっていた。また、ネガティブ尺度では、否定的に考える傾向が有意に改善していた。対照群では有意差はみられなかった。また、MCT前後の質問紙の回答を、A群と対照群で比較したところ、有意差はみられなかった。 この結果から、MCTの介入によって、他者や出来事に対して、運や成り行きに任さずに、能動的に対処しようとする認知が強化される可能性が示唆された。また、嫌な出来事を、繰り返して考え続けずに、自主的に頭を切り替えようとする認知が強化される可能性が示唆された。 Y病棟では対象者8名にMCTを実施し、質問紙の回答結果を分析中である。
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