研究課題/領域番号 |
24659986
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
安田 斎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80135467)
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研究分担者 |
松永 早苗 聖泉大学, 看護学部, 助教 (30614581)
河田 志帆 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70610666)
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キーワード | 糖尿病足病変 / 糖尿病神経障害 / 診断 / 病期分類 / アキレス腱反射 / 振動覚 / モノフィラメント / 短趾伸筋 |
研究概要 |
フットケア外来の中心的役割を担う看護師が糖尿病足病変を早期に発見し、適切な管理体制を構築するために、 足病変とその原因となる糖尿病神経障害(DN)の診断及び病期分類との関連につき検討し次の成績を得た。 1)DNの進行に伴い、槌状趾、鶏眼、肥厚爪の有病率は有意に増加した。2)足病変を先行文献に準じてスコア化してDN病期との関連を検討したが、病期による足病変スコアの増加は明らかではなかった。しかし、新たに設定した足病変スコアは、DNの進展とともに増加した(p<0.05)。3)DN病期の進展とともに、アキレス腱反射・振動覚の低下/消失の割合は増加し、モノフィラメント閥値は増大(p=0.013)、自律神経機能(CVRR)は低下した(p=0.019)。4)看護師と指導教官とのDN病期の診断一致率は研究開始時から徐々に上昇した(K係数:前期:0.198(p=0.09)、中期:0.273(p=0.01)、後期:0.293 (p=0.004))。5)足背の短趾伸筋萎縮は神経障害のない病期から観察されたが、DN病期の進展とともに増加し、病期IV期では、すべての患者に認めた。短趾伸筋萎縮と足趾背屈力には相関が認められた(r=0.463、p<0.001)。 以上の成績より、足病変を観察することにより、DNの進展を簡便に評価しうると考えられた。看護師でも、DNの診断と病期の判定に習熟することにより、足病変との関連を深く理解できるので、フットケア実践能力の向上に資すると考えられた。また、短趾伸筋萎縮の有無についての観察が新たな診察所見として有用と考えられた。 本研究で、糖尿病足病変の早期介入における新たな管理指標作成の有用性が示唆された。今回の検討では入院患者を研究対象としたため、対象患者のDN病期間の人数に偏りがあった。今後は、研究対象を外来患者に広げて検討することにより管理指標の確立が期待される。
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