研究課題/領域番号 |
24659988
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
森山 美知子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (80264977)
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研究分担者 |
貞森 拓磨 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40437611)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 慢性病看護学 / 疾病管理 |
研究概要 |
過疎化・高齢化が進み医療費・介護費が増大する地域において、Population Health Managementの概念を適用し、慢性疾患と高齢化を中心的テーマに、一次予防から三次予防まで全体を視野に入れ、地域住民のヘルスプロモーション、疾病予防、疾病管理/重症化予防を行い、医療・介護財政の健全化を狙う。最終ゴールは、離島に指定されている広島県大崎上島町を一つのモデルに、高度実践看護師の介入によって、プライマリ・ケア及び慢性疾患疾病管理技術を武器に、健康指標の向上を実現しようとするもので、他の地域に も応用可能な方法論を構築することである。 まずは、実態把握を行うために、大崎上島町のレセプト分析、健診データの分析を行った。町の疾病構造などがある程度、可視化された。この結果をもとに、大崎上島町役場や医師会への働きかけを行い、2013年1月に推進会議を設置、町、医師会、自治会、関係団体等とキックオフ会議を開催した。町と戦略を検討し、町在住の看護師を雇用し、また、広島大学側に疾病管理看護師を6名確保し、まずは(1)健診データで、尿タンパク2(+)以上者全員、(2)HbA1cデータの高い者順に、かかりつけ医の了解を得ながら、家庭訪問と電話による指導を開始した。また、(3)かかりつけ医から介入(患者教育)の必要な者を紹介してもらい、介入を開始した。 実際の介入では、(1)~(3)のかかりつけ医から情報を受け取り、方向性の話し合いを行い、われわれ看護師が患者宅を訪問し、必要なアセスメントと慢性疾患管理(低タンパク食や血糖コントロールなど)の指導を行った。現在、1~2回の介入ができているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
町役場(国保医療保険者)では、レセプトデータの電算化ができておらず、われわれの研究費をつぎ込んで、業者に依頼し、データ処理できる形にデータ転換した。これに多大な時間を要した。また、われわれは外部から入り込んでいる者であり、地域医師会にわれわれの活動について理解を求め、調整するのに、時間をかけて徐々に行っていたことから、多くの時間を要した。 しかし、町役場、地域医師会共に非常に協力的であり、今後は研究を加速できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
慢性疾患を有する被保険者への介入は継続する。平成24年度実績で示した(1)~(3)の対象者の数を増やしていき、介入の必要な被保険者を網羅できるようにする。平成24年度は、町、医師会とわれわれとの連携体制を作ることにエネルギーと時間を要したことから、平成25年度には、これを安定的な連携システムとし、本土の病院と地域連携パスを動かし、評価指標を設定し、指標の改善について測定して町に報告し、住民の意識啓発を図ることを計画している。また、地域の活性化(コミュニティエンパワメント)についても、検討していきたい。また、在宅看取りを推進できるよう、地域にある社会資源との連携を図り、実現できるように取り組みたいと考えている。 疾病管理、ポピュレーションヘルスマネジメントの評価指標を設定し、介入の大まかなシステム化を図る。そして、リスク階層に応じた介入ができるようプログラムを作成し、地域医療機関との共同をシステム化し、実施していく。また、地元医師と本土の医師との役割分担を調整し、住民が本土の病院と地域の診療所を行き来することなく、可能な限り地域で医療を受けるように働きかけていく。疾病管理を行うことによる健康指標の改善について、地元住民に可視化できるよう役場と方法を検討し、実施する。 見守りネットワーク・介護予防の強化:既存の地域の高齢者サロンに、健康相談/リハビリテーションの機能を付加できるよう検討する。また、閉じこもり・機能低下のアセスメントを取り入れ、リスクの度合いに応じて、住民の見守り機能を取り入れる。人に会う、触れ合う、情報交換をするところから生活の張りを見出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費:大崎上島町への旅費(代表者と研究分担者 50000円×2人 謝金:疾病管理(被保険者への健康教育、疾病管理教育を実施する看護師への謝金:@1300×4時間×10日/月×12ヶ月) その他:データ分析費 100,000円、高齢者用介入プログラム開発費+教材 200,000円
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