軽症脳卒中患者を対象とした、脳卒中の再発予防に関する量的・質的研究データの分析結果から軽症脳卒中患者の主観的健康感は発症後低下するが、時間の経過とともに改善していることが明らかになった。また、生活上の困難を感じていない者が多かった。生活上の困難を感じている者は、移動やコミュニケーションの不自由、知覚の変化などの日常生活への影響と、自信がなくなる、家族へ遠慮する、年齢の影響を感じるなど心理面の影響を感じていた。生活上の困難を感じている場合も、感じていない場合も生活への対処行動はとられており、行動範囲を変える、役割を減らす、時間をかける、再発の症状に注意するなどの手段的対処と、発症前の自分とは異なると自分に言い聞かせるなどの情緒的対処が用いられていた。再発予防に関するこれまでの支援の課題として、再発予防に関する患者の関心が十分ではないこと、再発予防への対処行動を実施した場合の効果に関するフィードバックが十分ではないことが明らかになった。 最終年度はこれらのデータ分析から教育支援プログラムを開発するために、多様な自己管理行動への焦点を当てた介入研究についての文献検討を行い、介入方法、介入内容、アウトカム評価について検討した。この結果、脳卒中の再発予防への効果的な介入には患者が自己管理行動を振り返ること、フィードバックが得られることなどが必要と考えられた。また、長期的に行動変容の支援を継続できるプログラムが必要である。
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