本研究は、胎児異常を診断された女性が妊娠初期から育児期に求める支援を、女性の経験をもとに助産学的視点(妊娠・出産を個人的出来事として捉え、継続して正常経過を支援する)から明らかにすることを目的とし調査を行った。 7名の妊婦の面接調査の結果、妊婦は胎児の診断を受け大きなショックを受けるが、『死んだわけではない』『生まれてみないとわからない』『今の生活をいつも通りに過ごす』『予定日までこの子を私が育む』という気持ちを持って日々を過ごしていた。出産が近づくと『自分の「お産」のイメージが難しい』ことや、育児が開始されると新生児の育児、母乳・乳房ケアに関する『普通の育児の知識が乏しい』ことに困難を感じることが明らかとなった。胎児の異常が診断された妊婦に対して、一般的に実施される母親となるための心身の準備に着目した支援が十分に提供されていない現状が推察される。 以上のことから、妊婦の母親として持つ希望を支え、育児に関する選択のための情報を提供し、出産子育てを個人的な経験としてとらえ、妊娠期から育児期まで継続的に関わりを持つ助産学的アプローチによる支援は、胎児の異常を診断された妊婦に対して必要不可欠な支援であることが示唆された。
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