平成26年度は以下3点について研究を行った。 1.児童相談所の通告事例の調査分析:A県内の平成25年度における通告事例のうち夫婦不和・DVがみられたのは約半数であった。DVのある家族は児童相談所への通告以前に公的支援がほとんど受けられていなかった。心理的虐待を受けた子どもの約30%に社会性の発達に問題がみられ、さらに虐待状態の期間が長いと、子どもの問題の発生率も高いことが明らかとなった。 2.周産期における DVの把握と支援に関する研修会の実施:平成25年度の看護職への面接調査から、周産期におけるDVの把握のためには、看護職者へのDVに関する知識や支援技術の向上が必要であることが明らかとなっている。また文献検討からは教育方法として、看護職者が参加しやすいWEBミーティングシステムの活用や複数回の研修が有効であることが明らかとなった。そのため、A県内の複数の産科病院に協力を得て、WEB 研修会を4回シリーズで開催した。研修内容は調査結果を基に専門家会議(行政、民間支援団体、弁護士など)で検討し、A県のDVの現状、司法的対応の理解、DV被害者の支援方法、DV被害者の心理支援を含む内容とした。これらの研修会の内容を報告書にまとめ、県内の産科病院に配布した。 3.周産期におけるDVのスクリーニングの試行:DVのスクリーニングのためのアセスメント案を提示し、A県内の2つの産科病院での試行を開始した。
|