研究課題/領域番号 |
24660016
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
栗原 明美 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (50464780)
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研究分担者 |
近藤 ふさえ 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (70286425)
志田 京子 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20581763) [辞退]
武井 泰 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (10460495)
桑村 淳子 順天堂大学, 保健看護学部, 助教 (80615815)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看取り介護 / 特別養護老人ホーム / 家族支援 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、本研究の目的である「特別養護老人ホームでの看取り介護受容に影響を及ぼす要因」について、分析を行った。 事前に任意でインタビューに応じていただけた特別養護老人ホームに家族が入居している人々へから聴取された内容を質的にコード化した結果を用いて、質問紙の項目を策定したところ、「老いの受容」、「介護負担感」、「施設の介護力」、「周囲のサポート力」、「死生観」、「これまでの生き方」の6カテゴリー 70項目が抽出された。 次にそれらの抽出された70項目を用いて特別養護老人ホームに入居している人々の家族に対し自己記入式質問紙を用いた調査を行った結果を用いて因子分析を行ったところ、看取り介護受容に影響を及ぼしている要因とは、「家族の介護負担感」、「入居者の活動力・精神機能低下」、「施設の介護力」、「家族の死生観や生き方」であることが明らかになった。これらの結果から、特別養護老人ホームで看取り介護を推進していくための家族支援に必要とされる要因は、入居者の活動力や精神機能の低下度を受容していくこと、つまり『入居者の問題』と、施設の介護力に見え隠れする、『施設側の問題』、家族のこれまでの介護負担感や死生観という『家族自身の問題」という3方向の問題が隠れていることが明らかとなった。これまでケアを提供する側からの問題として、介護者の心理教育支援不足が提言されているが、家族側の躊躇や拒否の根底にある思いについては明らかにされていなかった。そのため本研究の結果は、施設における高齢入居者の方針決定のための有意義な資料となりうると共に、施設職員が家族支援を行っていくにあたり、参考となる指標となりうることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、平成26年度が最終研究年度であった。これまでの研究目的の達成度は、国内外に広く研究成果を公表していくという点で、やや遅れている。そのため、平成27年度も引き続き延長して研究を行うこととした。 これまでにすでに日本老年医学会、日本家族看護学会、日本不安障害学会で口頭またはポスターで発表を行ってきたが、今年度はさらに、海外における研究成果の発表がすでに決まっている(12th International Family Nursing Conference)こと、論文を執筆し、投稿中であることから、年度末までには本研究の目的は達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の課題である、「特別養護老人ホームでの看取り介護受容に影響を与える要因」について、家族側の思いを分析したところ、「入居者」、「施設側の介護力」、看取り介護の決定に大きな力をもつ「家族自身」という3方向の問題が隠されていることが明らかとなったが、これらの要因は、すべての家族に均等にあてはまるわけではなく、当然のことながら、家族により大切にしている優先順位やこれまでの背景により異なっていることは容易に推測できる。そこで、本研究の分析結果をさらにジェンダー別や年齢別、入居者との関係性の別でどのような違いがあるのか、それらのグループ別特徴について、引き続き検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、研究成果を論文として発表することを予定している。実際2015年4月、すでに日本家族看護学会へ投稿中である。また、2015年8月には、第12回国際家族看護学会にて、発表することが確定しているため。
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次年度使用額の使用計画 |
第12回国際家族看護学会発表のための英語ポスター作製に対する構成費及び渡欧のための旅費として使用する。
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