研究課題/領域番号 |
24660017
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
齊藤 麻子 順天堂大学, 保健看護学部, 講師 (20326127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療的ケア / 特別支援学校 / 障害児 / 就学 / SUBI |
研究実績の概要 |
本研究は、慢性的な健康問題をもち定期的な医療的ケアを必要とし、次年度に小学校(特別支援学校小学部)に入学を予定している子どもの保護者に対し、小学校(特別支援学校小学部)への「Ⅰ期:入学2・3ヶ月前」、「Ⅱ期:入学後1・2カ月後」、「Ⅲ期:入学約1年後」の3期にわたり、子ども・保護者自身の心境や体調の変化等に関する情報を、面接調査によって得るものである。また、同時に「WHO SUBI(主観的幸福感尺度)」質問紙による調査も並行して行っている。 「Ⅰ期」では、ほとんどの保護者が、通所中の施設の人的・物的環境に満足しているため、小学校入学については環境の変化が大きいことを理解したうえで、学校の説明会以外に、気の合う保護者同士の会話、訓練施設等での医療専門家等を使い分け、自分に必要な情報を入手する行動をとっていた。また、子どもの成長を喜ぶ一方、自身の体力や健康への不安、新しい人間関係の構築に対する葛藤を語っていた。「Ⅱ期」では、教員の配慮や対応、子ども自身の体調の変化、適応力・成長への驚きと喜び、保護者自身の体調変化への懸念などが語られ、「Ⅲ期」では、1年の早さと子どもの成長の大きさへの驚き、今後の成長への更なる期待、子どもの成長や体験を思いだして語れる喜びなどが語られた。 面談の内容と「SUBI」の調査と総合すると、ポジティブな発言や質問以外の話題の発展が多い保護者において、「SUBI」の得点が高い(心の健康度が高い)傾向がみられたが、低い群でも特別な対応を必要とする保護者はなかった。 調査協力者らからは継続した調査への承諾を得ており、今後も面談調査を実施し、結果をまとめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究倫理委員会への申請、倫理審査の承認が遅延し、本調査を始める時期が遅くなっていた。また、条件に合致する調査協力者の確保が困難で、初年度は予定数より少ない状況であった。そのため、研究協力機関への依頼の継続により、翌年調査協力者を追加し調査を再開したため、当初計画より調査終了期間が延長されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度から、2名の保護者に対し3期にわたる面談と質問紙調査を開始し、1名は予定通りすべての時期における調査が終了したが、もう1名は子ども自身の体調不良により最終面談が延期しているため、今後実施していく予定である。現在、さらに3名の保護者に対し、小学校(特別支援学校小学部)への「Ⅰ期:入学2・3ヶ月前」の時点における調査を行い、本年度も継続調査中で、本年度の最終面談で終了予定である。 今年度は、これら5名から得られた面談と質問紙によるデータを合わせて、詳細な分析を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査協力者の確保不足によりデータ収集が少なく、それに伴いデータ収集や分析に使用する経費(謝金・交通費等)の支出が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査謝礼金5万円、調査交通費15万円、データ入力費10万円、データ分析20万円、学会発表等10万円を計画している。
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