研究目的:小学校(小学部)入学を次年度に控えた、慢性的な健康問題があり常時医療的ケアを必要とする子どもの養育者(5名)の、周就学期(就学前後約1年半)に体験する困難や満足などの思い・気持ちの変化、必要とする人的・社会的支援の内容を明らかにすること。研究計画:インタビューガイドを用いた焦点化面接による質的記述的研究と「WHO SUBI」(心の健康度:主観的幸福感)質問紙を用いたトライアンギュレーション、「調査1回目」小学校入学前(半年から2・3か月前)、「2回目」小学校入学後(1・2か月後)、「3回目」小学校入学後(半年~1年後)の各時期に面接(計3回)を行い、各面接時に質問紙(WHO SUBI)への記入を依頼する。調査内容:「子どもの背景」年齢、性別、医療的ケアを必要とすることになった診断名、家庭で医療的ケアを実施している年数、家庭・学校で行う医療的ケアの種類と頻度、「養育者の背景」子どもからみた続柄、年代、職業、家族構成、子どもの養育の状況、「インタビュー内容」1回目:学校選択に関する意思・思い、就学準備の状況、子どもの学校生活に対する思い(期待・不安)、支援ニーズ、情報ニーズ、2・3回目:子どもと養育者自身の健康状態、入学後、体験したイベント・エピソード(子ども・保護者が楽しい・嬉しいと感じていると思われることなど)、支援・情報ニーズ、その他、学校の生活に対して感じていること。調査結果:30代~50代の保護者(女性)5人から各3期のインタビューを実施した。子どもの状況は、身体的障害と知的障害も合わせもち、内服を含めた複数の医療的ケアを必要としており、特別支援学校または支援学級に通っていた。入学前には、ほとんどの保護者が、子どもが学校生活に適応できるか心配していたが、入学後は子どもの適応と成長の速さを実感していた。各対象者の3期にわたる心の健康・疲労度に大きな変動はなかった。
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