平成25年度は、第一に乳がん合併妊産婦への支援に関する文献レビュを行った。The National Guideline Clearinghouse、The Cochrane Library、MEDLINE、医中誌Webを用いて「Breast neoplasms」「Pregnancy」「周産期」「乳がん」のキーワードにて検索を行った。14文献(ガイドライン2件、システマティックレビュ8件、横断研究2件、症例研究2件)が抽出された。治療方針については、乳がんのステージ、ホルモンレセプターの有無などにより選択されること、分娩のタイミングは専門職と女性が話し合うこと、乳がん罹患後の妊娠は治療後2年以上経過してから産科医師、オンコロジスト、乳腺外科医も含めて相談すべきであることが重視されていた。妊娠期に乳がんと診断された女性の分娩、新生児アウトカムについては、実施した治療法により、自然分娩、帝王切開などの分娩様式に差は認められなかった。児の出生週数の中央値は36週で、妊娠期の化学療法の実施による、早産率の差はみられなかった。児の出生体重の中央値は2770gで、妊娠期の化学療法の実施の有無による差はみられていなかった。予後は、乳がんと診断された時のステージに関連しており、早期発見は予後の向上に影響していた。妊娠関連乳がん群は非妊娠関連乳がん群に比べ、有意に死亡のリスクが高かった。周産期乳がん女性への支援には、様々な職種がチームとなって取り組むべきであり、看護職は周産期の様々な場面で意思決定を支援する役割がある。妊娠・授乳中の乳がん早期発見に向けて、看護職はフィジカルアセスメントの技術を習得し、乳がん検診や乳房の自己検診の啓発を行うべきであることがわかった。これらの文献検討を基盤として、次に専門職へのインタビュを行い、日本における乳がん合併妊産婦の支援について明らかにした。
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