研究課題/領域番号 |
24660026
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
堀 妙子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (40303557)
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研究分担者 |
奈良間 美保 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207923)
中村 泰子 京都橘大学, 看護学部, 助教 (00402628)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 排泄障害 / 思春期 / 自立 |
研究概要 |
本研究は、排泄障害をもちながら思春期をむかえる子どもが、その子どもらしく自立してく過程を支えるために必要な看護援助方法を考案することを目的としている。平成24年度は、排泄障害のある子どもや思春期の子どもの現状や研究動向を明らかにすることを目的として、文献検討や関連する研究会・学会への参加そして、日本二分脊椎症協会の支部活動への参加を行った。 文献検討は、小児、思春期、排泄障害、排尿障害、排泄障害、小児慢性疾患、自立をキーワードとして看護に関連した原著論文の検索を行った。その結果健康問題をもつ思春期の子どもを対象とした研究は少なく、排泄障害をもつ思春期となると、ほとんど文献が見当たらなかった。さらに、排泄障害をもつ思春期の子どもを対象とした研究もほとんど見当たらず、思春期の子どもをもつ家族への調査や、成人となった排泄障害のある方を対象とした調査がいくつか見られる程度であった。その中では、自身の健康問題に対し否定的な感情をもちながらも、医療者や家族などのかかわりにより、健康問題を自分の問題としてとらえる事ができ、自立するきっかけとなった等の報告もされていた。このことから、思春期の子どもに対しる周囲の関わりは、その子どものなりの自立に大きな影響を与えているのではないかという事が示唆された。 また、患者会などでは、排泄障害の程度も様々で置かれている状況も様々であるため、思春期の子どもの自立を支えるためには、本人の意向を尊重しながら様々な視点で関わる事が必要である事が明らかになった。 実際に排泄障害をもつ思春期の子どもと関わった経験のある看護職と話をする機会もあったが、子どもたちの本音を聞くことが難しいという事を述べており、まず排泄障害をもつ思春期の子どもと関わる看護師が感じている困難感を明らかにするため、現在質問紙調査の準備を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究目的は、排泄障害や思春期に関連した文献検討や、患者会及び学会等に参加し、現状を明らかにする事、そしてそれをもとに、実際に排泄障害をもつ思春期の子どもと関わる看護師が、どのような困難を抱えているのかを明らかにすることが目的であった。 しかし、前年度末に研究分担者が退職となり研究組織のメンバーが1名減少した事に加え、退職となった研究分担者が研究代表者と同じ所属であったため、本務の負担が増えたことにより、本研究に関わる時間が減少した。そのため、平成24年度は本務に支障がないようにしながら研究を進め、同時に本務の負担を軽減するため、教員の確保にも努めた。文献検討は研究協力者の協力を得ながら行い、思春期の排泄障害をもつ子どもやその家族に関連した最新の知見を得た。さらに、学会等にはできる限り参加をし、現状の把握に努めた。また、二分脊椎症の患者会に関しては、今後面接調査を依頼する予定であり、信頼関係の構築が重要であるため、積極的に参加を行った。現在は、予定としていた看護師を対象とした質問紙調査が、実施できていないが、平成24年12月になり、研究代表者の所属する部署に、新しい教員の補充をすることができ、本務に関わる負担も軽減する事ができた事により、質問紙調査を行うための準備が始められる状況となり、平成25年度前半に看護師を対象とした調査を行う事を目標として準備をすすめているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究分担者が減少した事により、研究の目的達成度がやや遅れており、予定としていた質問紙調査実施まで至っていない。平成25年度は研究分担者を増やすことも検討したが、本務の状況が現在安定しているため、研究分担者は増やさず、研究協力者の力を借りながら、研究を進めていく事とする。特に今年度は質問紙調査を行う予定であり、質問紙の郵送等の準備や、回収された質問紙にたいする回答の入力等に関しては、研究協力者の支援を受けながら短期間で分析まで行う事ができるよう努力する。 平成25年度は、昨年度から取り掛かりつつある、思春期の排泄障害のある子どもにかかわった経験のある看護師を対象とした全国調査を行い、その結果をもとに、2次調査である面接調査を開始する。質問紙調査は、医療施設の状況を考え、できる限り多くの協力が得られるよう、業務の煩雑な年度初めは避け、業務が少し落ち着く時期である、8~9月頃を目標に実施する事を考えている。面接調査に関しては、平成26年度まで継続して行う予定であるため、質問紙調査の結果の概要を見ながら、今年度の終わり頃から実施をはじめる。面接調査の結果はそのつど分析し、専門家のアドバイスを受けながら実ケースの数を増やしていく事とする。質問紙調査から得られた結果は、平成26年度に学会等で発表できるよう準備をすすめるとともに、論文として投稿する準備も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、看護師を対象とした質問紙調査を行うとともに、排泄障害のある思春期の子どもとその家族を対象とした面接調査の準備を行い、一部調査を開始する。 1.看護師を対象とした質問紙調査:排泄障害をもつ思春期の子どもと関わる看護職が、子どもの自立を支援する上で問題であると認識している事を明らかにするため、看護師を対象とした調査(無記名自記式質問紙調査)を実施する。調査対象は、国内にある小児外科を有する医療施設の外来で、排泄障害をもつ思春期の子どもと関わった経験のある看護師とする。調査内容は、思春期の子どもと関わった経験やその際に困難であると感じた事、排泄障害のある思春期の子どもの自立に対する看護師のとらえ方等とする。調査方法は、国内の小児外科を有する医療施設の看護管理者あてに、書面にて研究協力の依頼を行う。研究協力に承諾を得られた施設へ、再度研究協力の依頼及び調査用紙、切手付返信用封筒を郵送する。看護管理者に、調査用紙及び切手付返信用封筒等の配布を依頼する。この際に、返信は自由意思である事を協調して配布を依頼する。調査用紙は、回答した看護師が直接切手付返信用封筒に入れ投函することにより回収する。回収できた調査用紙の結果を統計ソフトを用いて分析を行い、結果を平成26年度に学会等へ発表する準備を行う。 2.排泄障害をもつ子どもとその家族に対する面接調査:質問紙調査の分析結果をもとに、排泄障害をもつ子どもとその家族が自立する過程をどのようにとらえているのかを明らかにするため、面接調査を行う。そのために、二分脊椎症の患者会と継続した連携をとりながら、研究協力が依頼ができそうな排泄障害をもつ思春期の子どもとその家族を紹介してただく。研究協力への承諾が得られた場合、倫理的配慮を行いながら、半構成面接を行う。面接内容を逐語録におこし、内容分析を行う。面接調査は平成26年まで継続して行う。
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