研究課題/領域番号 |
24660026
|
研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
堀 妙子 京都橘大学, 看護学部, 教授 (40303557)
|
研究分担者 |
奈良間 美保 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207923)
中村 泰子 京都橘大学, 看護学部, 助教 (00402628)
|
キーワード | 排泄障害 / 思春期 / 自律 |
研究概要 |
排泄障害をもつ子どもに関わる看護師が臨床の場で、特にその子どもたちの自立といった視点で、どのような困難を感じているのかについての調査を実施するため、実際にそのような子どもたちの看護を実践している看護師と調査内容に関する意見交換を行ってきた。その中では、そのような子どもたちがおかれている場所によっても、看護師の自立に対するとらえ方が異なっている事が明らかになってきた。小児病棟の看護師で、幼少のころから子どもの成長を見守ってきた場合は、子どもの意向や家族の意向にそいながら、子どもの自立支援を行っている傾向が見られた。一方、成人病棟の中で、排泄障害をもちながら成長してきた子どもと、その経過の途中から関わり始めた看護師は、子どもを自立させることに着目し、子どもを大人扱いしながら、自立を促すという関わりをしている傾向が見られた。このような現状から、排泄障害をもつ子どもに関わる看護師が、子どもの自立について感じている困難感は、その子どもとの関わり方や、臨床経験に左右されているのではないかという事が示唆され、看護師の関わりの違いに戸惑う子どもや家族がいるのではないかということも、推察された。 また年に3回開催される、二分脊椎症のに参加し、排泄障害をもちながら成長している子どもたちに継続的な関わりを行ってきた。二分脊椎症の場合は障がいの程度が異なるため、その子どもや家族がその障がいの程度をどのように捉えているのかや、それ以前の親子や家族のあり方も、子どもがどのように自立していくのかといったことに大きく影響しているようであった。小学校へ通学するようになると、子どもは親から離れる時間が多くなるが、その中で辛い体験もするようであった。その体験の乗り越え方も、親の自立に対する考え方が影響しているようであった。今後さらに調査を進めていく必要があると感じられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究が遅れている理由は、研究計画当初より研究分担者が1名減少し、その後の補てんができない状況で継続している事が大きな理由となる。そのような理由のため、研究計画の進行が遅れているが、経過の中で実際に排泄障害のある子どもの看護を実践している看護師と直接話をする機会や、排泄障害をもつ子どもやその親と話をする機会を多く持つことができた。したがって研究計画を作成した当初よりは、進行は遅いが、調査を進めていくための基盤づくりについては、丁寧に行う事ができており、この点は研究を進めていく上では利点になっていると考える。 しかし、全体的に進行が遅れている事、また研究期間はあと1年であるため、研究分担者が少ない状況で研究を進めていく事ができるよう、計画性をもってすすめていく必要があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度で本研究は最終年度となるが、今年度末研究分担者が1名自己理由により退職したため、減少となってしまった。しかし、その減少した1名については新たな研究者を追加した事によって、次年度も今年度と同様の研究組織を維持する事は可能となった。現在は、看護師を対象とした質問紙調査を早急に実施できるよう準備をしている段階である。7月頃をめどに看護師を対象とした調査を実施し、その結果を分析しながら、その後に開催される予定である、二分脊椎症の患者会等で、思春期をむかえている子どもとその家族を対象とした面接調査を行い、次年度中にどちらの調査の分析等も行っていく予定である。研究結果の公表に関しては、出来るだけ速やかに公表する予定で準備を行っていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者が当初計画より1名少ない状況で、研究を進めている事が影響して、研究の進行が遅れているため、調査研究が進んでいない事が大きな原因となっている。調査研究の準備段階で、時間がかかってしまったため、助成金の使用が遅れている。 次年度は、最終年度であるため、今まで準備してきた調査研究を、確実に行う予定である。特に、質問紙調査を行う予定であるため、その郵送費等や、調査を行った結果を分析するために使用する、統計ソフトの購入などを行う予定である。また結果を分析しながら、面接調査についても同時に開始する予定としている。結果の発表については、次年度中に行う事は困難となる可能性があるが、学会等に参加しながら、最新情報に関する知見を得、結果をまとめて行く事を予定している。
|