研究課題/領域番号 |
24660030
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研究機関 | 横浜創英短期大学 |
研究代表者 |
石舘 美弥子 横浜創英短期大学, その他部局等, 講師 (50534070)
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キーワード | オノマトペ / 幼児 / 治療処置 / コミュニケーション / 小児医療 |
研究概要 |
本年度は次の3点について計画を実施した。 1)平成25年度の結果報告:平成24年度に実施した,先行研究の検討およびインタビュー調査の結果報告を行った。医療場面における看護師の対幼児発話には次の特徴がみられた。①オノマトペ表現が豊富にみられた。②「オノマトペ+する」動詞が多かった。③繰り返し表現のオノマトペが多かった。④オノマトペ語彙を係り元に,係り先を一般動詞とする端的な表現が多かった。オノマトペは,状況喚起力,身体性,心情融和性を持つ有用なことばである可能性が示唆された。学会発表3件(日本小児保健協会学術集会,大山人間科学研究会定例会,日本看護科学学会学術集会),論文発表1件(横浜創英大学研究論集)。 2)調査研究‐①:全国の病院施設リストから,総合病院,大学病院,小児専門病院,医院(総数:63施設)に依頼し小児科に勤務する看護師・医師(総数:540名)を対象に質問紙調査を実施した。調査の目的は,採血を受ける幼児に説明することばの把握であった。質問紙の内容は,採血手順に沿ったことばの選択式・自由記述式,および,職種,勤務施設,勤務年数,居住地など,ことばに影響を及ぼす要因を属性とした自記式質問紙を独自に作成した。実施にあたっては,各施設長に依頼文書を郵送し,看護師・医師宛の研究依頼文,質問紙,個別郵送用封筒の配布を依頼した。結果,看護師・医師230名の回答を得た(回収率42.6%)。採血場面における幼児への説明では,オノマトペを中心としたことばの特徴と傾向が示された。また,幼児に対してオノマトペを使用することによる長所,短所について多くの記述がみられた。引き続き,データ分析中である。 3)調査研究‐②:全国の看護系大学,短期大学,専門学校のうち,承諾が得られた教育機関(総数:10校)に依頼し,小児看護学実習前後の看護学生を対象に質問紙調査を実施中である(総数530名)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究2年目にあたる平成25年度は,医療場面の中で最も頻繁に行われる採血場面に照準を当て,使用されているオノマトペの全国調査を実施した。さらに小児看護学実習前後の看護学生を対象に,対幼児発話におけるオノマトペ出現の有無および変化を把握する調査研究を新たに追加した。 これまでの調査を通して,医療場面での対幼児発話に含まれるオノマトペの特徴が明らかとなり,幼児への説明モデル試作を検討するために必要な資料が整えられてきたことから,おおむね順調に進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成26年度は,平成25年度に実施した全国調査を分析し,採血を受ける幼児への説明モデルを作成する。説明モデルの試作段階で,小児看護学教員,大学医療系教員,大学心理学系教員など,各分野の専門家と協議し検討する。最終的に作成された説明モデルを使用し介入研究を行う。また,先行研究の検討から,効果測定の妥当性を高めるため,参加観察法以外に追加指標が必要となった。そこで,生理学的指標の選定を新たに考えている。対象者は,採血を受ける幼児複数名を考えており,倫理的側面に配慮しながら慎重に進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
質問紙の返送は料金受取人払い郵便を利用しているため,支出は回答数により左右される。また,質問紙調査は年度をまたいで実施中であることから,生じた残額である。 平成26年度の研究経費では,質問紙調査の返送費,生理学的指標に使用する酸素飽和度モニタ・データ分析に関わるソフトの購入,データ入力および研究支援者への謝金,研究の打ち合わせに関わる旅費,研究成果発表のための参加費を計画している。
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