本研究の目的は,医療処置を受ける幼児への支援として,幼児が理解し受け入れられることばを調査し,個々に応じた望ましい説明モデルの開発を目指すことである。 本研究の最終年度となる平成26年度は,これまでの調査結果をもとに,幼児用のオノマトペ説明モデルを作成し,その効果を検証した。 1)介入実験:関東圏の総合病院小児科外来に依頼し,採血を受ける3歳から6歳の幼児とその保護者を対象とした。倫理的配慮として,研究者所属施設および病院の倫理委員会の承認を得て実施した。期間は,平成26年8月~平成27年1月であった。方法は,幼児用のオノマトペ説明モデルをオノマトペ群,オノマトペを用いない標準的な説明を非オノマトペ群とし,群間比較を行った。具体的には,小児科外来を訪れた診察順に,対象者を2群間(オノマトペ群と非オノマトペ群)に交互に割り当てる無作為化比較試験とした。結果,36組の調査協力が得られた。このうち,採血穿刺数2回以上,過去の採血経験1ヶ月以内の子どもを除外し,オノマトペ群13組,非オノマトペ群13組の有効データを得た。過去に採血経験がなかった子どもは8名いた。主観的評価であるFace Rating Scaleでは,オノメトペ群の方に痛みが弱い傾向が認められた。客観的評価であるFLACC得点では,オノマトペ群の方が採血前に不安や恐れが高い傾向がみられたが,採血後には非オノマトペ群より有意に低下することが示されたことから,オノマトペを用いた介入の有効性と考えられた。
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