研究概要 |
訪問看護と連携している診療所3施設の看護責任者と,訪問看護事業所6事業所の管理者に対し,感染予防上の連携に関する現状と課題についてインタビューし,逐語録をカテゴリー分類した。現状について診療所では,【訪問看護事業所に供給する注射器材】で「自施設で使用している注射器材を提供」しており,安全装置付き注射器材供給の判断は診療所の感染対策の内容と意識が反映されていた.【訪問看護事業所が使用した廃棄物の受け取り】でも「廃棄物持参時の方法を診療所から指示している」でリキャップを要望しないことや点滴セットは針を外さす持参することなど,診療所の感染対策の実施が訪問看護の廃棄に反映していた.しかし,「訪問看護事業所の方法で廃棄物を回収」のように,回収方法が統一されていない状況だった.また,診療所では【訪問看護事業所と診療所との連携】について「訪問看護事業所と診療所は連携が取れている」や,【訪問看護事業所への感染症の情報伝達方法】では「退院時サマリー」や「退院前の訪問・会議」,「主治医が看護指示書で情報伝達」,通院中に訪問看護が開始された場合は「外来看護師が口頭で情報伝達」とあったが,訪問看護では【医療機関からの情報不足】で,「感染症の情報はサマリーに書かれていないことが多い」「訪問看護指示書の中にも感染症の有無を書く欄が無い」「外来患者の訪問の場合感染症の情報が抜ける」と,診療所と訪問看護側に認識のずれがあった.また,訪問看護では【医療機関からの情報が無くても感染のリスクがあるという認識で活動する】【医療機関からの情報不足による問題は無い】とあるように情報が無いなりの対応をしており,特に感染症の事例が問題にならないと情報の共有について重視しない管理者のリスク感性の低さが推測された.本調査は,診療所と訪問看護事業所の連携に焦点を当てて感染予防の現状と課題を明らかにした意義がある調査である.
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