本研究は、独居または高齢者夫婦世帯の高齢がん患者とその家族が、療養生活を送るうえで抱える困難や不安、課題と対処法、必要な看護ケアを明らかにし、支援モデルを構築することを目的としている。がんの療養生活は長期に及ぶことが多く、再発の危険性も高いことから、治療方法や療養場所など高齢者とその家族が意思決定していかなければならない場面が多い。近年急増する独居ならびに夫婦世帯の高齢者の場合、自分自身で医師から説明される医療情報を理解し判断しなければならず、意思決定を支える身近な家族からの支援を得られにくい状況にある。従来の研究では「がん患者」という大きな枠のなかで焦点があてられてきたが、高齢者、そしてその家族、特に世帯特性による課題の特徴や必要な看護ケアを具体的に明らかにする必要がある。本研究は高齢がん患者と家族に対する系統的な看護ケアの確立を目指すものである。 今年度は、高齢がん患者とその家族の看護を実践している看護師を対象にインタビューを実施した。実践での経験を踏まえ、独居または高齢者夫婦世帯の高齢がん患者とその家族の看護を実施していく中で捉えた当事者らの困難や、不安、看護に受ける課題と必要なケアに関する内容を聴取できた。現在、データの分析を進めている。当事者を対象とした研究については、研究協力施設の確保等が非常に困難であったため、現在も調査を継続している状況である。調査を進める中で、研究施設の看護師らから、本研究課題に関する具体的な助言、対象者選定などの研究方法に関する重要な示唆を得た。これらを活用し本研究を推進することで、今後も支援モデル構築を目指していく。
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