本研究は、ケア提供が困難な重度アルツハイマー型認知症(DAT)高齢者へどのように看護師がケアを遂行しているのかを明らかにすることを目的とし、ケアが円滑にいかなかった9場面を分析した。結果、DAT高齢者が看護師に注意を向けている、それほど嫌がっていないと捉えてケアをすすめた時には、DAT高齢者はかかわりを受けてケア提供が続けられた。一方でケアに応じたくない意思を明確に捉えられた時には、看護師が努力をしてもケア提供は続かず、DAT高齢者が強く嫌がっていると捉えた時には、看護師はケアをやめていた。意図するケアの遂行においては、かかわる時と引く時を見極める臨床判断が重要であると考えられた。
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