前年度から持ち越した質問紙調査と結果の分析を実施した。 当初、質問紙調査を夏までに行う予定であったが、折悪しく、現地が大きな影響を受けるリニア新幹線の工事に関係して、自然保護と地域振興をめぐる議論が活発になり、それが質問紙調査の結果に影響を及ぼすおそれが大きく、さらに質問紙調査がその議論に影響を与えたり、誤解を生む畏れがあったため、できるだけ遅く実施することにした。このため、結果は得られたが、公表を終えられていない。 中山間地域の26集落510戸に質問紙を配布し、家族の成人1人が無記名で回答し、郵送にて返送するよう依頼した結果、292人分の回答が得られ、SPSS Ver21により統計分析した結果、人々との絆、自然の恩恵、地域への愛着、付き合いのストレスが、人々の日常生活における環境に対する感じ方の因子として抽出された。 地域の成員としてのアイデンティティが強いことと付き合いのストレスが低いことが良好な健康状態と関係することが明らかになった。自然の恩恵を感じることは、地域への愛着を強めることにより、間接的に健康に寄与していると考えられる。
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