研究課題/領域番号 |
24660050
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
奥津 文子 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10314270)
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研究分担者 |
荒川 千登世 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (10212614)
前川 直美 聖泉大学, 看護学部, 講師 (20352916)
森 敏 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (40200365)
本田 可奈子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (60381919)
糸島 陽子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (70390086)
横井 和美 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (80300226)
大門 裕子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (90552638)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アニマルセラピー / 家畜 / 光トポグラフィー / 脳賦活化 |
研究概要 |
2012年度は、高齢者を対象としたアニマルセラピーの実態を把握することを目的に調査研究活動を展開した。 まず、滋賀県下の公立病院(滋賀県立成人病センター、市立長浜病院、彦根市立病院)におけるアニマルセラピーの実施状況を調査した。その結果、アニマルセラピーは感染防止の観点から一般病棟では全く行われていないことが分かった。その一方で緩和ケア病棟ではボランティアによるドックセラピーが行われており、入院患者からは好評を得ていたが、リラクゼーション効果等に関する客観的データは得られていなかった。 さらに滋賀県下の高齢者福祉施設におけるアニマルセラピーについて、聞き取り調査したところ、犬、猫、ウサギといった小動物とのふれあいの機会を設けている施設が多くみられた。また、山羊、羊といった大型の家畜を借受け、ふれあいの機会を持っている施設も散見された。しかし、アニマルセラピストの資格を持ったスタッフがプログラムを立てて「アニマルセラピー」として動物とのふれあいを実施している施設は皆無であった。動物とのふれあいによる効果についての検証も、全くなされていなかった。 以上より以下4点が明らかになった。①動物とのふれあいを導入している医療・福祉施設は存在する。②小動物とのふれあいばかりでなく、羊・山羊などの大型家畜とのふれあいを導入している施設もある。③ふれあいの効果的なプログラムを検討・導入している施設はない。④ふれあいの効果は客観的に検証できていない。 これらより、羊・山羊などの大型家畜を活用したアニマルセラピープログラムの構築と評価が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2012年度は、高齢者を対象としたアニマルセラピーの実態を把握することを目的としており、滋賀県下の実態については把握することができた。計画立案時は日本全国の高齢者施設に調査を行うつもりであったが、家畜を活用することによる効果は、家畜に慣れ親しんだ農村地帯に住む高齢者により現れると考えたため、滋賀県下の実態のみを調べることとした。 また滋賀県に限定したことにより2012年度研究費の旅費・通信費を抑え、次年度に繰り越すこととした。繰り越した研究費は、光トポグラフィー測定装置レンタル料に流用する予定である。光トポグラフィー測定装置レンタル料は非常に高額であり、計画時の研究費では借用期間をごく短期間に設定せざるを得ない。調査地域を限定し、研究費を効果的に活用するよう計画を修正したことは、妥当であったと考える。 以上より、2012年度研究目的は、おおむね達成できているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は光トポグラフィを使って脳賦活化状態を確認しながら、家畜との効果的なふれあいプログラムを試作する。 目 的:アニマルセラピープログラムの試作・検討。 方 法:①24年度の結果を踏まえ、アニマルセラピープログラムを試作する。②協力承諾が得られた高齢者ボランティア10人に対し、犬・羊・山羊で試作プログラムを実施。その間、脳賦活状態を光ポトグラフィによりモニタリングする。実施後質問紙を用いて、試作プログラムの問題点・感想等を集約する。③心理状態(POMS,唾液アミラーゼ等)を試作プログラム前後に把握する。
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次年度の研究費の使用計画 |
光トポグラフィーレンタル料が1週間で700,000円と高額であり、2013年度研究費の大半を占める。また、研究成果の発表と情報収集の目的で、国際学会に積極的に参加する予定である。
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