本研究の目的は、保健師教育における「起業家マインド」育成プログラムの開発に向けた試案を作成することである。平成26年度は、起業している保健師への調査を継続し、データ分析を行った。 調査の継続:公表資料を基に、国内で法人化または独立採算の事業形態で活動している保健師から事業分野が偏らないよう対象者を選定し、25年度に調査開始した保健師2名に加えて、福祉分野の保健師1名を対象者とした。事業および個人についての基礎情報の収集と、ライフレビューを促す半構成の継続面接によるデータ収集を行った。データ収集に並行して分析を進め、1事例について学会発表を行い、参加者との意見交換を行った。 データ分析・まとめ:起業家マインドが育まれるプロセスに着目し、個別に国の政策等の時代背景と照らし合わせながら語られた内容を整理し、生の言葉を用いたストーリーを記述した。事例間の共通性に着目して分析を進めた結果、看護キャリア初期に変化を生み出すことに肯定的な職場環境に身を置く、地域に密着した活動を通して住民に育てられる、対象コミュニティを意識した活動のふりかえりを大切にするなどの経験を経て、起業により住民に必要なサービスを創り出す転機を迎えていた。今回得られた結果は、保健師教育においてニーズからの施策化のナラティブ教材として、特に現任教育におけるOJT強化のための育成者支援プログラムとして活用できる可能性がある。今後は教育関係者と意見交換を行い、プログラムをより具体化する必要がある。
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