研究課題/領域番号 |
24660058
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
亀井 智子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (80238443)
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研究分担者 |
新野 直明 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (40201686)
梶井 文子 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (40349171)
杉本 知子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (00314922)
入江 由香子 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 講師 (00571382)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 転倒予防 / 高齢者 / 多因子介入プログラム / ランダム化比較試験 / 介入研究 |
研究概要 |
本研究の目的は、高齢者を対象とした包括的転倒予防教育プログラム「SAFETY on! 12週プログラム」の教育プログラム、および冊子・壁掛け・マグネット式ステッカー・シール式ステッカー・足指体操タオルによる啓発教材を開発し、これらを用いたプログラムによる転倒予防効果を検証することである。 開発した教育プログラムは、S:Slippers(転倒しやすい履き物、場所等)、A:Activities(運動機能と自己効力感を高める運動)、F:Foods(食事と栄養)、E:Environment(自宅の安全対策)、T:Tablets(薬剤の注意)、Y:eYe site(視力・視野の確保)の項目で構成し、併せて、各項目について冊子、壁掛け、ステッカー、タオルの各啓発教材にこれらの内容に関する具体的で平易なデザイン図を配し、高齢者が自宅内で日々使用できるように工夫した。 本プログラムの効果を検証するために、地域在住高齢者を対象として、転倒骨折予防実践講座を開催し、第I期ランダム化比較試験を行った。介入群には「SAFETY on! 12週プログラム」を提供し、対照群には従来の講座内容を提供した。今年度の研究参加者は34名、平均年齢74.7(SD 7.1)歳で、介入群18名、対照群16名に無作為に割り付けた。初回参加時点の1年以内の転倒経験者数は介入群5名(27.8%)、対照群2名(12.5%)とベースライン特性に差異が認められた。プログラム提供12週間後までの転倒経験者数は、介入群2名(11.1%)、対照群1名(6.3%)(RR=1.78,95%CI:0.245~13.335,ARR=-0.049,95%CI=-0.145~0.111,NNT=20)であった。次年度以降も研究参加者の募集とプログラムの提供を継続し、第II期、III期ランダム化比較試験により転倒予防効果等の検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究の初年度であり、(1)SAFTY on! プログラムを実施するための啓発教材、およびプログラム開発を行った後、(2)ランダム化比較試験による研究計画書の作成と倫理審査の申請・承認、(3)第I期ランダム化比較試験の参加者(65歳以上の高齢者)募集と割り付け(介入群18名、対照群16名)、(4)(1)で開発した教材を用いた転倒予防教育プロラムの実施と初年度のデータ収集・分析を計画通り実施できたため、おおむね順調に研究が進展したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度、平成26年度は、今年度開発したSAFTY on! プログラムのための啓発教材を用いて、第II期、および第III期のランダム化比較試験の参加者募集を行い、各群95名を目標として、データの収集と分析を計画通り推進する。研究遂行上の問題としては、研究対象者が目標数に到達しないことが考えられるため、平成25年度の研究参加者募集を早期に開始するとともに、募集の範囲を広げる対応策をとる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究は、主として第II期のランダム化比較試験を推進することであるため、研究費の使用計画は、対象者の公募、および当日の転倒予防講座の運営、ならびにデータ入力に必要な経費を支出する予定である。 今年度の研究費に残金が生じたが、その理由は、分担研究者の身内が他界し、病気を持つ義母の介護者が不在となり、分担研究者が介護を行うことが必要となり、研究に専念することができなくなったこと、および今年度収集したデータ解析のために購入を予定していたソフトでは解析が十分にできないことが判明し、新たなソフトの購入が必要となった。しかし、その統計解析ソフトが高額で、分担研究費では不足することがわかったため、今年度の研究費を繰り越して、次年度の支給と合わせることで予定通り分担研究者が物品購入に使用する予定である。
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