研究課題
本研究の目的は、高齢者を対象とした包括的転倒予防教育プログラム「SAFETY on!」、および冊子・壁掛け・マグネット式ステッカー・シール式ステッカー・足指体操タオルで構成する啓発教材を開発し、これらを用いたプログラムによる転倒予防効果を検証することである。前年度までに教育プログラムの開発を終え、S:Slippers(転倒しやすい履き物、場所等)、A:Activities(運動機能と自己効力感を高める運動)、F:Foods(食事と栄養)、E:Environment(自宅の安全対策)、T:Tablets(薬剤の注意)、Y:eYe site(視力・視野の確保)で構成し、併せて、冊子、壁掛け、ステッカー、タオルの各啓発教材にこれらの内容を表す具体的で平易なデザインを配し、高齢者が自宅で日々使用できるよう工夫した。本教材の転倒予防効果を検証するために、地域在住高齢者を対象として第Ⅲ期ランダム化比較試験を行った。介入群には「SAFETY on!」プログラムを啓発教材を用いて提供し、対照群には教材を使用せずに、同じ内容を提供した。今年度の研究参加者は32名で、介入群20名、対照群12名に無作為に割り付けた。プログラム提供12週間後までの転倒者数・割合は、介入群0名(0%)、対照群3名(25.0%)であった。本研究期間全体の初回参加12週後までの転倒者割合は、介入群7.4%、対照群9.1% (RR= 0.82, 95%CI= 0.231-2.873; ARR= 0.017, 95%CI= -0.075-0.109, NNT= 59)で有意差を認めなかった。グループインタビューから、両群とも本プログラム参加後の転倒予防意識の高まりが語られたが、介入群は壁掛けとマグネットを自宅内の目につく場所に自ら貼付し、頻繁に健康教育の内容を自宅で想起し、家族や来訪者とも話すなど、啓発教材が持続的に活用され、転倒予防意識を継続してもつことに有効であった。本教材の1転倒予防効果は認められなかったが、転倒予防意識を持続することに有用である可能性が示唆された。
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