研究課題/領域番号 |
24660062
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
グライナー 智恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (20305270)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 老年看護学 / 認知症高齢者 / 診療所 / 認知症認定看護師 / 在宅 |
研究概要 |
在宅認知症高齢者とその家族への支援につなげるため、診療所スタッフと診療所関連施設スタッフ及び管理者に対し、認知症認定看護師・研究者・診療所医師による勉強会を計5回開催した。勉強会の内容は、認知症の疾患と治療に関する基礎的知識、認知症高齢者の心理、行動心理徴候(BPSD:Behavioral and psychological Symptom of Dementia)の理解と環境へのアプローチ、認知症高齢者と家族へのケア、スウェーデン、タイ、米国の認知症高齢者施設とコミュニティ査察報告などであった。勉強会を実施しない月については、診療所スタッフとプロトコール作成に向けた打ち合わせや、現在認知症高齢者への対応で困っている点、診療所における医療者の役割と連携の現状、診療所における認知症ケアの現状、高齢者ケア外来の目標などについて話し合いを行った。これらの取り組みは、診療所看護師の意欲向上と認知症高齢者理解の促進につながったと考える。 診療所における初診からの経時的支援プロトコールの作成のために、クリニカルパスやケアガイドライン、ケーススタディに関する文献検討を行い、診療所スタッフとその内容を共有した。現在診療所スタッフが中心となり、プロトコールのドラフトを作成中である。今後はプロトコール作成と並行し、これまでに対応してきた認知症高齢者の事例を検討し、誰が、どのタイミングでどのような支援を行うことが適切かなどを明確化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症認定看護師、診療所医師、研究者による勉強会を実施し、診療所スタッフの意欲向上と認知症高齢者理解を促進した。また、診療所看護の現状から、診療所スタッフ自身が在宅認知症高齢者とその家族への統一した質の高いケアの必要性を認識し、文献検討の結果を踏まえながら、スタッフが中心となってプロトコールのドラフト作成を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
診療所スタッフと定期的に話し合いの場を持ち、プロトコールの完成を支援していく。また、事例検討を行いながら診療所における認知症高齢者とその家族への看護の質の向上に努める。診療所スタッフについては、認知症ケアの知識、やりがい、意欲等について、質問紙やインタビュー調査により効果を検証していく。また、認知症高齢者とその家族が在宅で生活していくためには、地域住民の理解と支援も大切である。認知症に関する地域住民の理解を深めるため、認知症の勉強会を兼ねたコミュニティカフェを開催していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は、旅費の使用が少なかったために若干予算を繰り越すこととなった。これは、参加した学会が大学近郊であったことや、会議参加の交通費が少額で済んだことなどによる。次年度の予算は主にプロトコールの完成とその効果検証のために使用するが、他にも学会等へ積極的に参加し、研究成果の公表につなげたい。また、研究活動を効果的・効率的に行うために、資料作成や事務作業を行う研究補助員を継続して依頼していく。
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