研究課題/領域番号 |
24660067
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研究機関 | 関西医療大学 |
研究代表者 |
岩井 惠子 関西医療大学, 看護学部, 教授 (60342234)
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研究分担者 |
紀平 為子 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30225015)
大橋 純子 関西医療大学, 看護学部, 講師 (90618167)
伊井 みず穂 関西医療大学, 看護学部, 助手 (20583925)
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キーワード | 限界集落 / 高齢者 / 生活実態 / 共助 / コミュニティー / エスノグラフィー |
研究概要 |
平成25年度の計画は、平成24年度のフィールドワークで得た情報を分析するとともに訪問を継続し、新たに限界集落の形成に至った過程を調査すること、住民相互の関係を明確にすることを目的とした。前年度の調査から住民個々の健康状態、生活実態がある程度明らかになり、お互いに助け合い、生活を継続していることがわかった。 調査は、月1回の集落への訪問を継続し、戸別訪問、集団での健診やレクリエーションを行った。さらに、8月の訪問時には住民宅に泊り、集落の夜間の生活を観察した。 住民個々に対してはナラティブ・アプローチにより健康や生活について語ってもらった。語りの中から、住民間のつながり、相互扶助の方法や内容、さらに集落の移り変わりを明らかにした。生活環境では生協の宅配が開始され、買い物の不便さがやや解消された。 健康診断においては、住民との関係も構築できたため、認知機能検査(HDS-R、MMSE、FAB)を導入し、また唾液アミラーゼの測定も開始した。腰痛を訴える住民が多く、生活への影響も出始めている。今年度2名の住民が集落を離れていった。ともに疾病が原因で、独居が不可能となり、病院や高齢者施設への移住となった。また、1名の住民の認知機能の低下が著名となり、住民間でトラブルも発生した。 12回の訪問を行うことができ、調査も計画に沿って行うことができた。さらに住民との関係も構築され、イーミックな見方から集落を見ることも可能となった。そこで明らかになったことは、少数の集落ではお互いにトラブルを避け、できるだけ助け合って生活をすることを心掛けていることであった。少しでも今の生活を維持するための方法と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおりフィールドワークを継続し、住民からの語りを集めることができた。また、医学的には認知機能の測定も実施でき、客観的な評価となる情報も得ることができた。さらに、集落の戦後の歴史も住民の語りより明確化し、限界集落の成り立ちが理解できた。 ただ、データの分析が不十分であり次年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は研究の最終年度でもあり、これまでのデータから、①現状の生活に対する満足度、②今後の生活への不安、③健康状態の評価の分析を行い、必要な支援内容を明確にする。 さらに、前年度確認した独居の認知症高齢者の生活を追跡調査し、自助、公助、共助を含め、どのように支援していく必要があるかを検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
8月の健診時の宿泊費用が、住民宅に宿泊することで使用されなかったため。 8月の健康診断時に、ストレスマーカーの測定をし、分析のための資料とするために使用する。
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