最終年度であった26年度は、初年度である、24年度に設計したメタデータクラウドのアーキテクチャに基づいて、25年度実施した基礎的な性能評価の結果、新たに開発した手法について、大規模かつ詳細な評価実験を行ない、有用性を評価した。 24年度で研究開発した要素技術である A) 中間データの再利用による演算省略と B) ダイジェストデータを用いた代理演算による結合演算の効率化について、25年度実施した基礎的な性能評価実験では、期待する性能が得られなかった。しかしながら、評価結果に基づいて25年度新たな手法を考案した。 その手法は 最も高コストな演算である結合演算のうち、Linked Data で頻出する低選択(入力が大きく、出力が小さい)結合について、MapReduce と呼ばれる大規模並列処理環境において、効率的に実施するものである。従来の MapReduce における結合演算の最先端技術における問題点として、ディスクスキャンが追加発生してしまうこと、ジョブ回数3回も発生すること、ネットワークIOの減少の余地があること、3入力以上の同時結合に対応していないことなどの問題があった。提案した手法はこれらの問題点を解決したものである。 プロトタイプシステムを設計・実装し、大規模かつ詳細な性能評価実験を実施し、前述した従来の最先端技術と比較して、提案手法がほとんどの場合で優れていることを示した。得られた成果をまとめて国際会議に投稿し、採択された。
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