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2014 年度 実績報告書

感覚間相互作用の誘発による拡張現実型食体験提示システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 24680012
研究機関東京大学

研究代表者

鳴海 拓志  東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (70614353)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード感覚間相互作用 / クロスモーダル / 食体験提示 / 拡張現実感 / 味覚ディスプレイ / バーチャルリアリティ
研究実績の概要

本研究の目的は,食に関連する複数の感覚について,感覚間相互作用を誘発することで簡易な刺激から多様な知覚を作りだす手法を明らかにし,限られた食品から多様な味・食感・ボリュームを体験できる食体験拡張システムを実現することである.本研究では,食にまつわる感覚として特に味覚・食感・満腹感に注目し,元となる食品の(1)味覚・食感・満腹感を感覚間相互作用によって任意に制御する手法を構築し,(2)それらの手法の定量的評価により感覚間相互作用を効果的に誘発する方法論を明らかにする.その上で,(3)それらを組み合わせることで多様な食体験をバーチャルに合成するシステムを実現する.
本年度は(3)多様な感覚を統合したバーチャル食体験システムの構築にあたり,長時間使用時の効果の変化について検証をおこなった.これまで短時間の摂食量の変化のみを計測してきたが,提案手法を1時間継続使用した場合にも短期と同様の摂食量変化効果が現れることを確認した.またHMDを必要としないテーブルウェア型のシステム(テーブルトップディスプレイによる食卓型システム,コップ型システムなど)を複数構成し,提案システムとその他のテーブルウェア(皿など)が同時に存在する環境においても期待する効果を発現させるために必要な条件について明らかにした.以上に加え,文化的背景によらずにおいしさの認知的な側面から食体験を変化させる技術について検討し,おいしさの認知にともなって変化する生理反応を擬似的に誘発することでおいしさの評価に影響を与える手法を構築し,その実現可能性を示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度に,これまでに実現したシステムを組み合わせた統合的な食体験拡張システムを構築し,効果を検証して成果を学会発表する予定であったが,組み合わせ時の効果の検証において,3感覚間の相互作用を世界で初めて定量的に評価できたこと,また予期しない効果の発現が見られたため,統合システム開発よりも感覚間相互作用の定量的評価手法確立と,新規に発現した効果の原因特定を目指すこととした.当初計画とは異なる方向に研究を進展したが,当初計画以上の有用な知見を得ていると判断しているため,総合評価としてはおおむね順調に進展していると評価する.

今後の研究の推進方策

未使用額を使用し,客観定量評価手法の構築と,それに基づく3感覚間の感覚間相互作用の解析,特に組み合わせによって効果が損なわれる場合の原因特定と対応策の立案をおこなった上で,統合的な食体験拡張システムの構築とおよび学会発表を次年度におこなうこととする.

次年度使用額が生じた理由

平成26年度に,これまでに実現したシステムを組み合わせた統合的な食体験拡張システムを構築し,効果を検証して成果を学会発表する予定であったが,組み合わせ時の効果の検証において,3感覚間の相互作用を世界で初めて定量的に評価できたこと,また予期しない効果の発現が見られたため,統合システム開発よりも感覚間相互作用の定量的評価手法確立と,新規に発現した効果の原因特定を目指すこととしたため,未使用額が生じた.

次年度使用額の使用計画

このため,客観定量評価手法の構築と,それに基づく3感覚間の感覚間相互作用の解析,特に組み合わせによって効果が損なわれる場合の原因特定と対応策の立案をおこなった上で,統合的な食体験拡張システムの構築とおよび学会発表を次年度におこなうこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 鼻部への冷温覚提示による食味認知変化手法2014

    • 著者名/発表者名
      鳴海拓志,鈴木智絵,谷川智洋,廣瀬通孝
    • 雑誌名

      日本バーチャルリアリティ学会論文誌

      巻: Vol.19 No.4 ページ: 439-448

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Simplification of Olfactory Stimuli in Pseudo-gustatory Displays2014

    • 著者名/発表者名
      Takuji Narumi, Masaaki Miyaura, Tomohiro Tanikawa and Michitaka Hirose
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (TVCG)

      巻: 20(4) ページ: 504-512

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Changing Drinking Behavior and Beverage Consumption Using Augmented Reality2015

    • 著者名/発表者名
      >Eiji Suzuki, Takuji Narumi, Sho Sakurai, Tomohiro Tanikawa and Michitaka Hirose
    • 学会等名
      HCII2015
    • 発表場所
      Los Angeles, アメリカ
    • 年月日
      2015-08-02 – 2015-08-07
  • [学会発表] Rapid Fire Research 102015

    • 著者名/発表者名
      Takuji Narumi
    • 学会等名
      Nico Nico Gakkai Beta Singapore Rapid Fire research 100 @ SCIENCE CENTER SINGAPORE
    • 発表場所
      Singapore, シンガポール
    • 年月日
      2015-03-11 – 2015-03-11
    • 招待講演
  • [学会発表] メディア技術による摂食量調整に関する基礎的検討2015

    • 著者名/発表者名
      松尾宇人,伴祐樹,櫻井翔,鳴海拓志,谷川智洋,廣瀬通孝
    • 学会等名
      第15回香り・味と生体情報研究会
    • 発表場所
      東海大学,東京
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-06
  • [学会発表] Affecting Tumbler: Affecting our flavor perception with thermal feedback2014

    • 著者名/発表者名
      Chie Suzuki, Takuji Narumi, Tomohiro Tanikawa and Michitaka Hirose
    • 学会等名
      11th Advances in Computer Entertainment Technology Conference (ACE2014)
    • 発表場所
      Funchal, ポルトガル
    • 年月日
      2014-11-11 – 2014-11-14
  • [学会発表] クロスモーダルインタフェースと行動誘発型AR2014

    • 著者名/発表者名
      鳴海拓志
    • 学会等名
      チームつかもと研究交流会2014
    • 発表場所
      はこだて未来大学,北海道
    • 年月日
      2014-09-25 – 2014-09-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 拡張現実感によるコップの見た目の長さ操作が長時間の飲料消費量に与える影響の検討2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木瑛二,櫻井翔,鳴海拓志,谷川智洋,廣瀬通孝
    • 学会等名
      日本バーチャルリアリティ学会第19回大会
    • 発表場所
      名古屋大学,愛知
    • 年月日
      2014-09-17 – 2014-09-19
  • [学会発表] Using Social Media to Change Eating Habits without Conscious Effort2014

    • 著者名/発表者名
      Toshiki Takeuchi, Tatsuya Fujii, Kyohei Ogawa, Takuji Narumi, Tomohiro Tanikawa and Michitaka Hirose
    • 学会等名
      CEA2014
    • 発表場所
      Seattle, アメリカ
    • 年月日
      2014-09-14 – 2014-09-14
  • [学会発表] "きもち"を動かす場のデザインとクロスモーダル2014

    • 著者名/発表者名
      鳴海拓志
    • 学会等名
      第7回クロスモーダルデザインWS
    • 発表場所
      3x3Labo,東京
    • 年月日
      2014-08-29 – 2014-08-29
    • 招待講演
  • [学会発表] リアルを侵食するSF的拡張現実感技術の現在2014

    • 著者名/発表者名
      鳴海拓志
    • 学会等名
      第53回日本SF大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場,茨城
    • 年月日
      2014-07-20 – 2014-07-20
    • 招待講演
  • [学会発表] 鼻周辺への温度提示による食味認知変化手法に関する基礎検討2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木智絵,鳴海拓志,谷川智洋,廣瀬通孝
    • 学会等名
      第14回香り・味と生体情報研究会
    • 発表場所
      福岡工業大学FITセミナーハウス,大分
    • 年月日
      2014-06-12 – 2014-06-13
  • [学会発表] クロスモーダルデザインを探る2014

    • 著者名/発表者名
      鳴海拓志
    • 学会等名
      第6回クロスモーダルデザインWS
    • 発表場所
      Bed Gallery ASLEEP,東京
    • 年月日
      2014-05-30 – 2014-05-30
    • 招待講演
  • [学会発表] サイバネティックシミュレーション: 社会システムを最適化するための行動誘発技術2014

    • 著者名/発表者名
      廣瀬通孝,谷川智洋,鳴海拓志,竹内俊貴
    • 学会等名
      2014年度人工知能学会全国大会(第28回)
    • 発表場所
      ひめぎんホール,愛媛
    • 年月日
      2014-05-12 – 2014-05-15
    • 招待講演
  • [図書] 人を幸せにする目からウロコ!研究2014

    • 著者名/発表者名
      萩原一郎編著
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2016-06-01  

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