研究実績の概要 |
H27年度の成果は(1)準同型暗号を用いた統計解析の秘密計算と、(2)差分プライバシーに基づく外れ値検出のプライバシ保護、(3)レコドリンケージにおけるプライバシポリシーの強制、であった。 (1)では、計算をクラウドサーバに委託する際にデータプライバシを保護しつつ統計分析における予測モデリングを実現する方法を構築した. 具体的には, クラウドサーバにアップロードするデータを準同型暗号と呼ばれる暗号方式を利用して暗号化することで,データ通信中やクラウドでの演算中において,データプライバシの保護を実現した. (2)では、外れ値の個数を検出するクエリに対して差分プライバシを保証する方法を提案した. 差分プライバシを保証するために大域敏感度によるラプラスメカニズムが一般的に用いられる.しかしながら,外れ値検出にこの一般的なメカニズムを用いると出力結果の有用性を下げてしまう.この問題を克服するために,大域敏感度の代わりに平滑敏感度 を用いる手法を理論的に示し,差分プライバシを満たしつつ高い有用性を持つ出力結果を得る方法を提案した. (3)では、個人が主体的にデータベース間の任意の 2 データベース間のレコードリンケージの可否についてプライバシポリシを定め, 個人が望まないレコードリンケージは実行できないような準同型暗号に基づく暗号プロトコルを提案した. 具体的には, N データベース中の任意の 2 データベース間の連携の拒否を指定するホワイトリスト方式と, 同様に任意の2 データベース間の連携を拒否するブラックリスト方式の二通りのプライバシポリシを定式化し, そのようなポリシに従うレコードリンケージの制御を実現する暗号プロトコルの正しさとセキュリティを示した.
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