研究概要 |
本研究では,高速ロボットと高速ビジュアルフィードバックを用いた,紐・カード・布や粘土などの柔軟物の高速操りの実現を目指している.特に,高速動作を利用することにより,柔軟物の簡易モデル化を可能にするとともに,軌道生成や制御を容易にし,様々なタスクを実現することを目的としている.平成24年度は,主に紐などの1次元的な線状柔軟物に焦点を当て,柔軟物の簡易モデルの構築と操りスキルについて検討し,紐に対するタスクを実現した-加えて,カード操りに関しても考察を行い,カード飛ばしとカードキャッチを実現した- 1.柔軟物の高速操りのシミュレーション:従来の柔軟物のモデルを基に,高速動作時の理論的解析を行い,解析結果に基づく柔軟物の簡易モデル化を行うと同時に,モデルを用いた柔軟物の高速操りのシミュレーションを実施した. 2.紐の形状制御:紐をロボットアームの先端に取り付け,任意形状の制御を目標とし,タスク実現のための操りスキルを提案するとともに,ロボットの制御法を導出した.特に,A)で提案した柔軟物の簡易モデルを用いたロボットの軌道生成法を提案し,シミュレーションと実験を行い,実際に直角形状や円形状の生成に成功している. 3.紐の先端位置制御:紐の先端位置を制御するための理論的な解析を行うと同時に,A)で提案した簡易モデルを用いて先端位置を制御するための軌道生成手法の提案およびシミュレーションを実施した. 4.カード操り:高速な指先振動によるカードの変形を利用した,ひずみエネルギの蓄積と開放により運動エネルギを発生し,カードを飛ばすタスクを実現した.また,高速ビジュアルフィードバックを用いて,その飛ばされたカードをキャッチする動作も実現した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
紐やロープなどの1次元的な柔軟物の簡易モデル化について理論的に考察するとともに,柔軟紐の簡易変形モデルを提案している.また,簡易モデルを用いたロボットの軌道生成手法も提案しており,実際に想定しているタスクを実現している.加えて,カードの操りに関しても考察し,実際に実験に成功している.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに提案した1次元的な柔軟物の簡易モデルを2次元・3次元のモデルへと拡張し,リボン,ピザ生地や粘土などへと拡張し,様々なタスクを実現していく予定である.また,これらの自由度の高い柔軟物に合わせて,高速視覚フィードバック制御系を構築していく.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画よりも消耗品費が少なかった. 現存する大規模なロボットシステムへの統合を目指し,システム設計を行い,次年度では,高速ビジョンと高速画像処理PCを導入するとともに,この設計を基にシステム統合に必要な要素を製作し,システム構築と高速視覚フィードバックによる柔軟物の様々なタスク実現を目指す.
|