研究課題
平成27年度では,平成26年度に計画していた,非言語と言語の両方のモダリティを考慮してロボットの認知的一体化に基づく対話システムの実装を進め,評価するとともに,遠隔対話ロボットを用いた自閉症スペクトラム障害(ASD)児のコミュニケーション療育への応用可能性の評価に関する研究について,補助期間を延長し,取り組んだ.H26年度の取り組みに引き続き,ロボット間言語的相互作用を伴う複数ロボットによる遠隔対話システム,すなわち時折ロボット同士で対話しながら,複数体のロボットが交互に人に話しかけ,同調的な曖昧応答を提示することによる対話システムの開発を進めるとともに,提示する言語的刺激をより厳密に統制した実験を実施し,ロボットを陪席させたシステムの方が,被験者が対話において容易さを感じることを確認することができた.また,複数のロボットと相互作用する人間の振る舞いを計測したデータの因果性の分析による,陪席ロボットのマルチモーダル行動ルールの自動抽出手法を開発し,提案手法により,モデルの人間の役割を再現するように陪席ロボットを振る舞わせられることを確認する被験者実験を実施した.コミュニケーション療育への応用に関する研究では,複数ロボットによるコミュニケーションの支援・療育システム構築の第一歩として,遠隔操作される小型ロボットを用いて,ASDと診断された幼児とロボットと交互に対話させたときのASD児の反応を,視線行動,同調の観点から分析した.ASD児は人との対話時に比べ,ロボットとの対話時に,これらの指標が促進され,さらにはロボット対話ののちに実施した人の対話時においても,これらの指標が促進される,という共通傾向を見出した.これは,コミュニケーション療育において,ロボットの有用性,すなわちコミュニケーション訓練やカウンセリングの相手としてロボットを用いることの可能性を確認することができた.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Human Developmental Research 2015
巻: 29 ページ: 169-174
整形・災害外科
巻: 58(8) ページ: 1057-1061