研究課題/領域番号 |
24680024
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 裕紀 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80610849)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胎児 / 新生児 / 全身筋骨格モデル / 神経系モデル / 発達シミュレーション |
研究実績の概要 |
複数のスパイキングニューラルネットワークを異なる複雑ネットワークにより接続し、振る舞いを解析した。その結果、異なるネットワークに特有の活動の違いを見出した。複数のヒト脳のMRIデータをDTI(拡散テンソル解析)により解析し、ニューラルネットワークモデルに適用可能な脳のネットワーク構造を抽出した。 新生児のGeneral Movementを解析するための基礎研究として、赤ちゃんの運動を深度センサで取得した際の3次元時系列データを解析可能とする4次元高次局所自己相関特徴を開発した。ヒト運動のパターン認識で高い認識率を得ることができたため、General Movement解析にも有用であると考えられる。 当初考えていなかった進展として新しい統計的因果性解析手法として混合確率的偏正準相関分析を提案した。この手法は異なる複数の因果性を含む信号の関係を手動のセグメンテーションなしに自動抽出できる手法であり、ニューラルネットワークの解析に使用することで発達的なネットワークの変化の解析に使用することができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ解析のための新規手法開発の必要が生じたため、当初目的には含まれなかった研究を行った。そのため当初の計画の進捗からやや遅れている。最終年度では、3年間に行った研究を集大成して発達モデルを提案し、その振る舞いを新規解析手法により検証する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はこれまでの成果を統合し、U字発達の再現を試みる。神経系内の相互作用、身体環境間の相互作用、神経系と身体・環境の相互作用が変化することにより運動の複雑性がU字型に変化するという仮説のもと、条件を変化させた時の運動の複雑性の変化を調査する。また、実際の赤ちゃんのGeneral Movementsを解析し、そこで得られた運動発達の経過とシミュレーション結果を比較して、ヒトの運動発達メカニズムを考察する。 モデルはスパイキングニューロンにより抹消・脊髄・脳幹・大脳を構成し、胎児・新生児の全身筋骨格モデルと接続する。その際にヒト頭部MRIのDTI(拡散テンソル解析)により取得した白質繊維の情報を用いて大脳ネットワークを構築する。髄鞘の発達に伴う信号伝達の時間遅れの変化などの条件を変化させる等により運動がどのように変化するかを観察する。 運動解析では、実際の赤ちゃんのGeneral Movementsを動画像データから高次局所自己相関特徴を用いてマーカレスで解析し、運動発達の過程を調査する。同じ解析をシミュレーションにおけるGeneral Movementsにも適用し、比較に用いる。 最終年度であるため、これまでの成果を論文にまとめ発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
価格競争が激しく考えていたより安くGPUサーバを購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
既存の計算機のメモリを増強し、大規模なデータ解析の際にメモリ不足でプログラムが停止することのないようにする。
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