研究課題/領域番号 |
24680027
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
奥村 貴史 国立保健医療科学院, 研究情報支援研究センター, 特命上席主任研究官 (50553400)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 医療情報 / 疾患知識ベース / 診断支援システム |
研究概要 |
各種の医学情報の効率的な社会還元へと向けて、さまざまな疾患情報を機械可読な形で提供する手法の整備が求められている。しかしながら、そのような疾患の知識ベースの構築には、医師等による人的な監査が必要であることから多額の費用が掛かり、技術進歩を阻む要因となっていた。そこで、本研究では、自動生成した疾患知識ベースを有用性の高い診断支援システムと合わせて公開することにより、疾患知識ベースの利用促進を図ると共に、ユーザーによるシステムの利用履歴を用いて疾患知識ベースを低コストに高精度化する手法について探索的な検討を試みている。 平成24年度では、自然言語処理を用いた疾患知識ベースの自動生成タスクに取り組み、疾患毎の症状や臨床検査結果等のいくつかの情報について、自動的な整理を行うことが出来た。また、実用性の高い診断支援システムの開発に取り組み、ユーザーによるシステムの利用履歴を用いてデータ監査を行う手法についての検討を行った。現在は、40名ほどのテストユーザーを対象に、システムとしての品質向上に取り組んでいる。今年度においては、出来るだけ早くより規模を拡大したテストを開始し、疾患知識ベースの精度改善に向けた検討を行う。 こうした試みにより高精度な疾患知識ベースを低コストに編纂することが可能となれば、今後、疾患知識ベースや治療ガイドライン等のさまざまな情報を機械可読な形で広く公開する道が開けることになる。これにより、未だ低い水準に留まる各種の医療用情報システムのインテリジェント化等、品質向上を図っていくことが可能となる。また、本研究を通じて得られる多数の医師ユーザーと、ユーザーの利用履歴を用いた情報収集手法の知見は、医療用自然言語処理技術等、今後、様々な医療用情報技術を発展させるうえでの基盤となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画においては、平成24年度に、自然言語処理を用いた疾患知識ベースの自動生成と診断支援システムの開発に取り組み、研究体制を確立することを目標とした。しかしながら、疾患知識ベースの自動生成において、ボスドクならびに研究補助者の確保に困難が生じ、遅れが生じることとなった。また、診断支援システムの開発にも、多少の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては、平成24年度の積み残し課題を出来るだけ早期に解決し、診断支援システムの公開に漕ぎ着ける。そのうえで、100名以上のテストユーザーを対象としたテストを開始し、ユーザーによるシステム利用情報を用いた疾患知識ベースの精度改善の検討を行う。また、利用者の人数を拡大していくうえ1 必要な施策を講じ、利用者からのフィードバックを元に診断支援システムそのものの改善を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
疾患知識ベースに求められる各種データを準備するための医療従事者の確保、並びに、ボスドクの確保に問題が生じたため、研究予算の次年度繰越が生じている。今後、研究協力者の確保を急ぎ、平成24年度課題の早期消化を目指す。
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