高品質な医療用情報技術の研究開発には、疾患の取りうる所見や検査結果などを機械可読な形で収載した疾患知識ベースが求められる。しかしながら、疾患知識ベースの構築には医師の関与が不可欠であり、既知の疾患に関する膨大な情報を整理する必要があることから、コストが大きい。そこで本研究では、重要性の高い疾患については手動編纂することで実用面での精度を担保しつつ、希少疾患についてのデータを自動生成し、両者を組み合わせることで疾患知識ベースを効率的に整備する手法を検討した。さらに、こうして構築した疾患知識ベースを低コストに品質管理するために、利用者からのフィードバック機構を備えた診断支援システムを研究開発し、その利用履歴を用いた効率的な精度管理手法の検討を行った。その結果、疾患知識ベースと実用的な水準の診断支援システムの整備に加え、各種の医学文献における疾患知識の効率的な抽出に関する知見が得られた。今後、構築した研究基盤を活用し、診断支援システムのさらなる品質向上を目指すと共に、利用統計を用いた疾患知識ベースの精度改善に向けた検討を進める。
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