研究課題/領域番号 |
24680038
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
株田 智弘 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, 室長 (70535765)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オートファジー / 細胞内分解 / RNA分解 / RNautophagy / DNA分解 / DNautophagy / リソソーム / 膜蛋白質 |
研究概要 |
前年度、我々は「RNAがATP依存的にまた小胞輸送を介さずに直接リソソームに取り込まれ、分解される」という新たな生命現象を発見し、これをRNautophagyと名付け、論文報告した。さらにリソソーム膜蛋白質LAMP2Cが、少なくともRNA受容体の1つとして機能することを見いだした。また、LAMP2Cは脳において発現量が高く、RNautophagyは特に脳において機能することが示唆された (以上Fujiwara et al. Autophagy. 2013, 9(3))。RNautophagy発見の過程で、我々はLAMP2CがDNAにも結合する可能性を見いだしていた。そこで本年度は、まずその結合について検討した結果、LAMP2Cの細胞質側配列はRNAだけでなくDNAにも結合した。さらに前年度に確立した、単離リソソームを用いた核酸の取り込み・分解アッセイにより、「DNAがATP依存的に直接リソソームに取り込まれ、分解される」という新現象を発見した。我々はこれをDNautophagyと名付け、報告した 。またLAMP2Cが、RNA受容体としてだけでなく、DNA受容体の1つとして機能することも見いだした。ミドコンドリアDNA (mtDNA)はストレス化では細胞質に放出されることが報告されており、我々はin vitroの系においてはmtDNAがDNautophagyの基質となることを明らかにした(以上Fujiwara et al. Autophagy. 2013, 9(8))。DNautophagyは細胞質にDNAが存在する特殊な環境下で機能する可能性がある。以上のように、前年度に続き新規細胞内分解システムを発見した。我々の発見は、細胞内物質輸送や細胞内分解の理解を深めると考えられる。また、核酸が関与する様々な疾患の病態解明や治療法開発に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目的であった新規細胞内分解システムRNautophagyの発見に加え、今年度はさらなる新たな細胞内分解システムとしてDNautophagyを見いだした。このように生命の基本的現象を新たに発見することができたことは意義深いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
RNautophagyに続きDNautophagyを発見したが、これら分解システムの詳細なメカニズムと生物学的意義・生理的意義はまだ不明な点が多く残されている。今後はこれらの点について解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度からさらなる研究の発展が見込まれるため、当該助成金を繰り越した。 次年度は、新規RNA/DNA分解システムのメカニズムと生理的意義・生物学的意義の解明研究に必要な経費として使用する予定である。
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