研究課題/領域番号 |
24680041
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 大樹 京都大学, 生理化学ユニット, 講師 (40467428)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | TRICチャネル / 小胞体 / リアノジン受容体 / IP3受容体 |
研究概要 |
申請者のグループにて見出された小胞体TRICチャネルサブタイプは、カルシウム放出と連動して機能するカウンターイオンチャネルである。本申請研究では、(1)TRICチャネルとカルシウム放出チャネルであるリアノジン受容体及びイノシトール3リン酸受容体が選択的に連動して機能する(選択的機能協調性を有する)こと、及び(2)TRICチャネルの能動的カルシウム放出制御というまったく新しい2つの機構について解明を目指した。具体的には、TRICチャネル両サブタイプとリアノジン受容体、イノシトール3リン酸受容体のいずれもが発現している平滑筋を実験材料とし、細胞内カルシウム動態の詳細な薬理学的解析を行い、またそれに付随した細胞・組織機能を評価することで2つの機構を解明する。計画では平成24年度に平滑筋特異的TRIC-B欠損マウス及び平滑筋特異的TRIC-Bトランスジェニックマウスを作製し、機能解析を行う予定であった。しかしながら実際には、平滑筋特異的TRIC-Aトランスジェニックマウスの血管平滑筋細胞の解析により、TRICチャネルがカルシウム放出チャネルと選択的に機能協調すること、及びTRICチャネルの能動的カルシウム放出制御に関して研究が大きく進展した。具体的にはTRIC-Aを過剰発現した血管平滑筋細胞において、カルシウムスパーク頻度が顕著に上昇したこと、さらにはカフェインにより刺激した際、TRIC-A過剰発現血管平滑筋細胞において顕著な反応の増強が観察されたことからTRIC-Aとリアノジン受容体が選択的に機能協調している可能性が示唆された。また、カルシウムスパーク頻度が上昇したことから、TRIC-Aが積極的にカルシウム放出を亢進させていることが有力だと考えられる。これらの結果は、平成24年度の成果発表として記載した(雑誌論文の5番目)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平滑筋特異的TRIC-Aトランスジェニックマウスの血管平滑筋細胞の解析により、予想以上に2つの機構についての理解が深まった。また、現在作製中の平滑筋特異的TRIC-Bトランスジェニックマウスは2つの機構を証明するための有用なモデル系となると考えられ、実験系はすでに確立しているものばかりであるため、全体としては当初計画した通りに進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように平滑筋特異的TRIC-Bトランスジェニックマウスがまもなく作製され、すぐに解析に取りかかる準備はできている。ただし、細胞内環境を制御できる条件下ではないため、サポニン処置などにより細胞外環境をコントロールすることで、カルシウム放出チャネル機能を正確に制御し、活性を測定する必要があると考えられる。この実験系については、平行して条件検討を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、特に設備備品の購入を予定していない。従って、研究費はほぼ消耗品費として使用する予定である。平成24年度には、自身で所有する他の研究費も潤沢にあり、年度をまたいでの繰越し使用が可能だったため次年度に使用することとした。
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