研究課題/領域番号 |
24680042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 直毅 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (10508956)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 記憶 / 遺伝子改変マウス |
研究概要 |
研究代表者らが開発した“任意の時期に任意の行動刺激により活動した細胞集団のみに、任意の遺伝子操作を行うことが可能なトランスジェニックマウス”のシステム(Science 2007, 2008)を用いて、記憶の獲得時に活動した細胞の活動操作を行った。恐怖条件付け学習時に活動した細胞集団に選択的にDREADD (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drug)の発現を誘導・標識し、その特異的合成リガンドであるclozapine-N-oxide (CNO)を投与することにより、これらの細胞集団に選択的な人為的活性化を行い、その記憶に与える影響を行動解析により行った。また、人為的活動による神経細胞群の活性化状態を最初期遺伝子群に対する抗体を用いた免疫組織化学染色により明らかにし、活動パターンの解析を行った。これらの研究は、記憶という実体の捉えがたいものが、脳内に散在する特定の一部の神経細胞集団の活動として存在することの因果関係を実証し、また、記憶を人為的に操作することが出来ることを示すものである(論文投稿中)。 また、初年度に作製して得られた4系統のtetO-ChR2トランスジェニックマウスをそれぞれ、cfos-tTAトランスジェニックマウスと交配することにより2重トランスジェニックマウスの作製を行い、その発現様式および機能解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間内に明らかにすることとして、下記の3つの課題を掲げた。 (1)記憶の獲得時に活動した神経細胞集団の再活動が本当に記憶の想起に十分なのか? (2)記憶情報をコードする神経細胞集団の一部を活性化するだけで、記憶全体を再生することができるのか? 出来るとすれば、一体どの脳領域の再活動が記憶の想起を誘導することができるのか? また、この時にどの領域間で機能的な活動連携が起きているのか? (3)記憶の再生に必要な脳領域・細胞は経時的に変化するのか? これらのうち(1)と(2)について、ほぼ達成した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間内に明らかにすることとして、下記の3つの課題を掲げた。 (1)記憶の獲得時に活動した神経細胞集団の再活動が本当に記憶の想起に十分なのか? (2)記憶情報をコードする神経細胞集団の一部を活性化するだけで、記憶全体を再生することができるのか? 出来るとすれば、一体どの脳領域の再活動が記憶の想起を誘導することができるのか? また、この時にどの領域間で機能的な活動連携が起きているのか? (3)記憶の再生に必要な脳領域・細胞は経時的に変化するのか? これまでに(1)と(2)については、ほぼ達成したので、残りの研究期間で(3)の達成を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
作製した遺伝子改変マウスの数が若干少なかったことに伴い、飼育費や餌費用を次年度に繰り越した。 これらの費用は計画した研究を遂行するために、適正に使用する。
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