研究課題
細胞接着斑タンパク質の一つPaxillinのチロシンpY118におけるリン酸化は炎症促進と密接な関係があることが知られている。本研究ではこのPaxillinのリン酸化が細胞張力の喪失と関係があることをを示した。まず、シリコーン膜に力学的予ひずみを負荷して、数百nmの振幅を有する正弦波状の微細突起を作製し、それを細胞培養基板として用いた。この微細突起の方向に従って、細胞の張力の発生要素であるstress fiberが配向するために、張力の大きさや方向を制御することができる。まず、この微細突起に沿ったstress fiberの配向はintegrinを介した細胞接着により達成されることを確認した。さらに、ミオシン活性の抑制によりこの配向が行われなくなったことから、stress fiberの配向には、細胞張力が必要であることを確かめた。この微細突起に沿わない方向にstress fiberが偶然配向を示したときにはその端にあるPaxillinのpY118のリン酸化レベルが局所的に高くなり、一方、微細突起に沿って配向する大多数のstress fiberの端にあるPaxillinではpY118のリン酸化レベルが低いことがわかった。微細突起に沿う配向ではstress fiberの張力が大きいために、このリン酸化レベルの低下は張力の上昇と共に起こることが示された。その他の実験からもstress fiberによるミオシン依存的な力、すなわち収縮力が力学的に出しづらい環境であるほど、Rac1の活性化など炎症を促進する傾向にあることわかった。また、収縮力をレスキューすることにより、炎症促進反応は抑制された。このように、炎症の沈静化と(個々の細胞レベルでの)慢性化には、収縮力の発生のしやすさという力学的要素と密接な関係があることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Experimental Cell Research
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