研究課題
平成25年度には、DYRKのヒト未分化幹細胞(ES細胞・iPS細胞)の自己複製・未分化性維持における標的分子の同定とWnt経路とDYRK阻害による遺伝子発現変化の網羅的解析を行い、これらの結果を基に新規培養システムのプロトタイプ開発とそのテストを行った。①DYRKの標的分子。前年度に続きDYRKの機能について、様々なシグナル阻害剤や増殖因子、遺伝子等を用いて解析を行い、ID-8以外でのDYRK阻害剤でもヒト未分化幹細胞の自己複製を維持できること、DYRK阻害剤によって主に神経分化が抑制されること、DYRKの標的分子のうちNFATとAKT、p53が主にヒト未分化幹細胞の自己複製に関与していることを見出した。また、NFAT阻害剤とID-8を組み合わせることで、自己複製および増殖がより効率的に維持できることを見出した。②Wnt経路とDYRK阻害による遺伝子発現変化の網羅的解析。前年度に化合物スクリーニングで同定したヒト未分化幹細胞でWntシグナルを活性化可能な化合物、ID-8、bFGF、TGFβの組合せにおける網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、Wnt+ID-8ではbFGF+TGFβに比べて、サイクリン等の細胞増殖に関わる遺伝子群、AKT等の細胞の代謝に関与する遺伝子群が変動していることを見出した。これらの遺伝子群を指標に、Wntシグナルを活性化可能な化合物とID-8の派生物の合成とスクリーニングを行い、これらの遺伝子群への影響を最低限に抑える化合物を得た。③新規培養システムの開発。①と②の結果を基に、Wnt活性化剤、DYRK阻害剤、NFAT阻害剤を用いて培養システムのプロトタイプの開発およびそのテストを行った。その結果、これまでに報告されているどの培養システムよりも、シンプルで安価で品質管理の容易な培養システムの開発に成功した。この培養システムを用いると、テストに用いた全てのヒト未分化幹細胞株で50継代以上の安定した維持が可能であった。これを基に特許出願を行い、論文も投稿した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biomaterials
巻: 35(24) ページ: 6259-6267
Stem Cell Reports
巻: 2 ページ: 未定