研究概要 |
近年,ロボット技術を用いることで,車いすや歩行器などの福祉機器の高度化を目的とした研究開発や上肢・下肢のリハビリテーションを行う運動支援システム(ハプティックデバイス)の研究開発が盛んに行われている.一般に従来のロボット技術では,福祉機器やハプティックデバイスにサーボモータを取り付け、それらを能動的に駆動することで様々な機能を実現する.しかし,本研究では,福祉システムを常にパワーアシストで駆動させるようなアクティブ型システムを目指すのではなく,人間の力で動かされるパッシブ型福祉機器を基盤とし,回生ブレーキ制御にて危険回避などの多くの機能をブレーキ制御のみで実現するとともに,上り坂での支援などブレーキ制御では支援できない一部の状況でのみ回生されたエネルギーを用いて補助的な能動支援を行う運動制御手法の構築を目指す.本年度は,連続的にブレーキ力の制御が可能で,かつブレーキに使われたエネルギーをバッテリーに回収することができる回生ブレーキユニットの設計・製作を行った.特にブレーキデバイスとしてはサーボモータを用い,そのサーボモータのブレーキ制御を行うモータドライバの開発を行った.また,特定の構造をもつ移動ロボットのために設計してきた従来のブレーキを用いた2次元平面運動制御手法の一般化を行い,移動支援型福祉システムの車輪の種類や数,配置に依存しない運動制御手法の構築を行った.具体的には,車輪の種類,数,配置によって変化するブレーキ発生可能領域を解析し,システムの運動状態とそのときのブレーキ発生可能領域の関係から,適切なブレーキ力を導出する手法の構築を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画通り回生ブレーキシステムの開発を行うことができ,今後の研究のための要素技術を構築した.また,ブレーキ制御系の設計においても,当初の計画通り移動ロボットの車輪の種類や配置によって変化するブレーキ制御可能領域の導出を行うことができ,今後の制御系設計のための基盤技術を構築した.
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