研究概要 |
本研究では最大下の強度である5000m走のパフォーマンスを向上させるような至適ウォーミングアップ(W-up)について検討した.被験者は日常的に長距離走のトレーニングを行っている男子大学生7名とした.W-up,主運動共にトレッドミル上における走運動とした.また,W-upと主運動の速度は予め行われた漸増運動負荷試験の結果から算出した.被験者らはW_up無し,60%,70,80%VO2maxそれぞれで15分間のW-up,という4つのW-up条件を行った.W--up無し条件以外は,W-upが終了5分後に主運動を開始した.主運動は90%VO2max強度において持続不能となるまで行い,持続時間をパフォーマンスとして評価した.持続時間については一元配置分散分析によって統計処理を行った. 各条件の走行持続時間は,W-up無しで13分06秒3±3分21秒9,60%VO2maxで15分12秒0±5分08秒8,70%VO2maxで14分14秒6±3分44秒9,80%VO2maxで12分49秒6±4分22秒0であり,各条件間に有意差は認められなかった.各被験者内で主運動持続時間が最長を記録した条件は,W-up無しが1名,60%VO2maxが3名,70%VO2maxが2名,80%VO2maxが1名であった.先行研究では,最大または超最大運動になる800mや1500m走のパフォーマンスを向上させるためには少なくとも乳酸閾値(LT)強度以上でのW-upが推奨されている.本研究における被験者のLTは79.2±3.4%VO2maxであった.したがって,最大または超最大運動で推奨されているW-upが最適であったならば,80%VO2maxのW-upが適していることが示唆されて然るべきである.しかし,本研究の結果からは80%VO2maxのW-upが最適とは言えない.
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今後の研究の推進方策 |
計画通り研究を進める予定である.ただ,2012年度の結果が仮説通りではなかったため,実験プロトコルについては細部の変更は有り得る.2012年度の結果を踏まえ,さらに予備実験を行った上で詳細を決定する.また,2012年度の結果については論文化を進める.
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