研究課題
若手研究(A)
今年度は主として下記二つのトピックについて研究を推進し成果を挙げた。(1)使用者の意図を推定するインテリジェント・トレッドミルを開発し、その有効性を検証した。研究のプラットフォームとしてはカセンサを内蔵したスプリットベルト・トレッドミルを用いた。様々な一定速度で歩行・走行動作を行った際の床反力を計測し、そのデータと歩行・走行速度との関係性を調べた。特に床反力推進成分の力積、遊脚時間、立脚時間に着目し、これらのデータに基づいて使用者の意図する歩行・走行速度を推定する重回帰式を作成した。この重回帰アルゴリズムをトレッドミルに実装した検証実験では全ての被験者が自在に歩行・走行速度を調節できた。これによって従来のボタンやタッチパネルを用いたインターフェースによらず、より自然な歩行・走行に近い動作をトレッドミル上で実現できるようになった。(2)走行動作における障害(ランニング障害)を予防するために、走行運動時の床反力の初期ピーク値と脚部のスティフネスに着目し、バイオフィードバックを用いてこれらの値を調節する可能性について実験研究を行った。(1)と同様のカセンサ内蔵のトレッドミル上を走る際の床反力を計測し、得られたデータから床反力の初期ピーク値を計算した。また、質量ばねモデルに基づいて脚部のスティフネスをリアルタイムに推定した。これらの結果を視覚情報として即時に被験者に与えるバイオフィードバックを行った.その結果視覚フィードバックにより走行動作様式が明確に変化する事が明らかになった。この成果は本研究が目指すランニング障害の予防に大きな貢献を出来る可能性がある。
1: 当初の計画以上に進展している
走行機能を評価するためのプラットフォームとして活用できるインテリジェント・トレッドミルを開発した。またこのトレッドミル上での走行動作中に下肢に作用する力学的ストレスをリアルタイム評価してバイオフィードバックするシステムを構築した。更にその有効性を実験的に検証した。成果は既に複数の論文や国際・国内学会発表としてまとめており、これは当初の計画以上に進展していると判断できる。
今後は以下のトピックに取り組む。(1)バーチャル・リアリティの技術を活用し、より直観的で定量的にも正確なバイオフィードバックの手法を開発し活用する。(2)様々な被験者の歩行・走行動作を筋骨格系モデルを用いて詳細に解析し、その動力学的特性を明らかにする。(3)本研究で開発したシステムの効果を検証する。
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http://www2.kobe-u.ac.jp/~aknrngn/