本研究では,隙間通過行動の三次元動作解析を主たる研究手法として,空間情報が知覚されてから歩行が調整されるまでの情報処理過程を明らかにするための実験を行った。その結果,(a)接触回避のために実行する隙間通過行動は,必要最小限の空間マージンを作り出せるように,回旋角度を調節していること,(b)歩行中に得られる動的視覚情報が,歩行には有益に利用されるものの,静止した状況下での意識的な知覚判断には利用されないこと,(c)隙間を通過する2歩前の時点で,回旋行動が始まっていること,(d)左大脳半球の活動が,歩行特有の認知情報処理に関与している可能性などが明らかとなった。
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