研究課題/領域番号 |
24680078
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 一晃 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教 (30467609)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 個人視点映像 / 体験活動 / 振り返り / 映像閲覧 |
研究概要 |
昨年度の成果を拡張したものや新規に着手した内容を含めて以下のような実績を得た. (1) 貼り合わせによる広視野画像の自動生成:体験活動参加者の周囲の状況を瞬時に把握する目的で,個人視点映像中の画像を貼り合わせて広視野な画像を生成する手法について検討を行った.参加者は自由に行動するため,個人視点映像には,激しい動きでぼけてしまった画像や大きな視差を含むものなど貼り合わせに不適な画像がしばしば含まれる.そのような画像を自動的に取り除いて質の良い貼り合わせを実現する手法を提案し,その有効性を検証した. (2) 複数画像間の同一シーン検出:参加者間のコミュニケーションを取り出す目的で,「同一のシーンを見ていた」ことを自動検出する手法について検討を行った.これにはコミュニケーション的な要素だけでなく複数カメラ間の位置・姿勢関係を導出する上でも重要な情報となりうる.基本的には画像中の特徴的な局所領域の対応に基づく手法であるが,それらを補強する情報として大きさの比や方向の保存性を追加することで,従来よりも頑健に検出できることが確認された. (3) 体験活動のマルチモーダル記録デバイスの開発:昨年度で実施するはずであった記録デバイスの設計・開発を達成した.頭部装着されたカメラに加えて,発話および環境音を収録するマイク・体幹や手先の動きを測定する加速度センサなどを同期して記録できるモバイルデバイスである.これにより参加者のコミュニケーションや動作などをより詳細に記録できるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度分研究計画における「単一個人視点映像の視聴時負担の緩和」については,提案手法を用いて生成された貼り合わせ画像を背景とした揺れ補正済・広視野映像を作成することでほぼ達成された.ただしもう一方の「同一シーンを記録した集合的個人視点映像の同時視聴」についてはまだ達成されていない.カメラの位置・姿勢やコミュニケーションの有無などは利用可能な状態にまで進んだが,それらを元にどのように複数個人映像を提示するかについては現在検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
遅延部分である映像編集・提示方法に焦点を当てて研究を進める.当課題に関する研究開発を進めてきた経験から「任意の閲覧目的に対して有効な方法」を検討することは難しいと判明したため,今後は利用場面を絞ることで解くべき問題を明確化して取り組む予定である.具体的には,①一名が複数名に対して解説や説明を行うシーンを「解説行動や資料構成が適切であったか」「どのような工夫を行えば良いか」という目的で振り返る場面,②リハビリテーションにおける作業療法行動を「現状での障害の程度を自覚する」「リハビリを続けたことによる変容を把握する」という目的で振り返る場面,を想定することが決まっている.
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次年度の研究費の使用計画 |
マルチモーダルな体験活動記録デバイスの設計・開発費が当初見積よりも少なめで実行できたために余剰分が発生した. 現状の記録デバイスは機能・数量ともに多少不足しているため,それらを拡張・補充する目的で使用する.また長時間映像の処理を高速に行うための計算機の購入や,外部発表における登録費・滞在費等のために適宜使用する予定である.
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